ジュラ紀中期に空を飛んでいた最大の動物の骨格が、スコットランドのスカイ島で発見されました。
これは英国史上最も保存状態の良い化石の一つであると、発見した研究者は語っています。
スコットランドは曇りの日が多く、雨が絶えないことで知られています。17億年前のスコットランドはもっと暖かく熱帯で、翼を広げると250メートルもある巨大な爬虫類が空を舞っていたのです。
これはスコットランド北西部のスカイ島で発見された化石から判明しました。この発見は『カレント・バイオロジー』誌に掲載され、これまで発見されたジュラ紀中期の翼竜の中で最大のものであることが報告されました。

新種は”Dearc sgiathanach”と呼ばれ、スコットランドのゲール語で「翼のある爬虫類」「スカイ島の爬虫類」という意味の「jark ski-an-ack 」と発音します。
この発見は「スコットランドの最上級の化石である」とスティーブン・ブルサット氏は語っています。エジンバラ大学の古生物学者である彼は、2017年に「ジャーク」を発見したナショナルジオグラフィック協会出資の探検隊を率いていました。
彼はこの化石の保存状態について、「これまでスコットランドで見つかったどの翼竜をもはるかに超えており、おそらく1800年代初めのメアリー・アニングの時代以来、イギリスにおける最高の化石が見つかった」と述べています。
アニングは19世紀前半に活躍したイギリスの有名な古生物学者で、ドイツ以外で初めて翼竜の骨格を発見するなど、多くの化石を発見しました。

翼竜は空飛ぶ爬虫類で、三畳紀後期(約2億2800万年前)から白亜紀末期(6600万年前)にかけて存在し、小惑星によって地球上のほぼすべての生物とともに絶滅しました。
翼竜は初めて空を飛んだ脊椎動物です。翼竜はその名前から想像がつくかもしれませんが、恐竜ではありません。爬虫類の家系図とは別の枝で進化した近縁種なのです。
この化石が発見されるまでは、翼竜は三畳紀からジュラ紀にかけて1.6メートルより大きくなることはほとんどないと考えられていましたが、「今ではもっと大きくなることが可能だったことがわかっている」とブルザット氏は語っています。

2017年、スカイ島の海岸、ブラザーズ・ポイントと呼ばれる場所で、当時博士課程の学生だったアメリア・ペニーさんが石灰岩から顎の一部と歯が突き出ているのを発見しました。
ブルザット氏によると、それが単なる頭蓋骨ではなく、骨格全体であることがわかると、チームメンバーは興奮状態になったそうですが、潮の満ち引きが早く、化石を岩から切り離すのに苦労したそうです。
この貴重な化石が他の誰かに見つからないことを祈りながら、チームは翌朝に本格的な発掘を行う準備が整うまで、一晩放置しなければならなかったとブルサット氏は語っています。
論文の主執筆者であるナタリア・ジャギエルスカ氏は、この化石が非常に珍しいもう一つの理由は、すでにジュラ紀中期の化石を見つけるのが難しいのに、翼竜を見つけるのはさらに難しいということだと言います。「化石が保存されることは非常に稀です。彼らはとても繊細で、骨がとても薄く、押しつぶされてしまうのです」
保存状態は良好ですが、この化石にはまだ多くの欠落部分があります。そのため、その外見を知るためには探偵と法医学者の仕事が必要だったのだ、とジャジエルスカ氏は言います。研究チームは、さまざまな博物館が所蔵する他の翼竜の化石をたくさん使って、空白を埋め、パズルを完成させたのです。

イラストレーターでもあるジャギエルスカさんはこの翼竜を「4本の脚と2.5mの翼を持つ、アホウドリに近い生物」と表現しています。前腕は翼に改造され、後脚よりもはるかに大きく、指は4本で、4本目は膜状の翼を伸ばすために非常に細長く、現代のコウモリに似ています。また、バランスをとるために長い尾を持ち、魚を捕るための非常に鋭い歯を持っていました。
さらに頭蓋骨を詳しく調べてみると、おそらく視力と平衡感覚が優れていたことがわかりました。「どちらも空を飛ぶ動物にとって非常に役立つ特徴です」とジャギエルスカは語っています。
なお、この骨格は大人のものではありませんでした。骨のスライスを顕微鏡で分析したところ、”D. sgiathanach”はまだ成長中であることが判明したのです。

ジャギエルスカさんはスコットランド国立博物館に展示されている化石を見る人には、1億7000万年前にスコットランド上空を飛んでいた動物の化石を”生きていた時の特徴の多くが保存されていること”に注目してほしいと話しています。

すごい大きさじゃな!
大昔にはこんな大きな鳥が空を飛んでいたんじゃ!
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