日本人の多くは黒髪ですが、世界中には色々な髪色の方がいます。しかし、人間の髪色の多様性は、どのように進化したものなのか、実はあまりわかっていません。
今回発表された研究では、マダガスカルに住むキツネザルから、そのヒントが得られるかもしれないとのことです。
キツネザルから毛の進化を見ることができる
人間だけでなく、すべての哺乳類にとって毛は重要です。毛には多くの機能があります。体温を保ち、捕食者や被食者のカモフラージュになり、多くの種がコミュニケーションのために毛を利用しています。しかし、野生霊長類の毛の進化は、その重要性にもかかわらず、あまりよく分かっていません。
ジョージ・ワシントン大学霊長類ゲノム研究所の研究者たちは、気候や体の大きさ、色覚などが毛の進化にどのように影響したかを明らかにするために、マダガスカル固有のキツネザルの一種、ベローシファカの野生個体群を調べました。

その結果、ベローシファカの毛は、乾燥した開放的な生息地で密度が高くなることが判明しました。この毛は、人間の毛と同じように、キツネザルを日光から守る役割を担っているのではないかと考えています。
また、涼しい環境に生息するキツネザルの毛は黒っぽいこともわかりました。これは「ボガート則」と呼ばれるもので、「寒い環境に住む動物は毛が黒くなり、熱を吸収しやすくなるため体温調節がしやすくなる」というもので、この法則に従っていると考えられます。
興味深いことに、キツネザルの赤い毛は、より広い範囲の色を知覚できる個体群に見られる傾向がありました。とはいえ、毛の構造や色にはいくつかの進化的な圧力がかかっており、すべてのキツネザルの種でこれらの効果が見られるわけではありません。
残念ながら、ヒトの毛髪は化石化しないため、祖先の毛髪を直接見て進化を理解することは容易ではありません。そこで研究者はキツネザルに注目しました。
本研究の主執筆者であるカリフォルニア大学サンディエゴ校の博士研究員エリザベス・タパネス氏は、「我々が研究したキツネザルは、人間と同じ直立姿勢を示し、初期の人間のように様々な生態系で生活していましたので、我々の結果は、人間の髪の進化について独自の窓を提供してくれます」と語っています。

研究者らは、キツネザルのような人間以外の霊長類を研究することで、我々自身の進化の歴史についてより深く理解できるようになることを期待しています。
研究の共著者であるブレンダ・ブラッドリー教授は、「ほとんどの人は、自分自身の体の毛の多様性や、世界中の人々の毛の種類の多様性に興味をそそられます」と述べています。
「このキツネザルのような人間以外の霊長類の毛のパターンを理解することは、人間の毛にどのようにバリエーションが生じたかを理解するための比較の文脈を提供するかもしれません」
この研究、”Hair phenotype diversity across Indriidae lemurs “は、American Journal of Biological Anthropologyに掲載されています。
via:Lemurs provide a window into the evolution of hair • Earth.com

おもしろい研究じゃな
世界中に分布しているからかもしれんが、人間の身体的特徴の多様性は不思議じゃのぉ
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