古来より、不老不死は人類の永遠の願いとして追い求められてきました。
かつて秦の始皇帝は不老不死を追い求めるあまり、薬と信じて水銀を飲んで死んでしまったという話もあります。それから2000年以上経った現代においても、まだ老化を止める術は見つかっていません。
しかし、マーモットの研究によって、不老不死は叶わぬ夢ではなくなるかもしれません。
マーモットは長寿の鍵を握っているかもしれない
最近、UCLAの生物学者チームは、キバラマーモットの冬眠とその老化への影響について調査しました。この研究は、野生のマーモットの集団における老化の速度を調べた最初のものです。
研究者らは、このふわふわした動物が7~8カ月の冬眠中に老化プロセスを一時停止できることを発見しました。その結果、2歳で性的に成熟すると、このプロセスが発生することが判明したのです。
冬眠中のキバラマーモットは、ほとんどの時間を代謝抑制の状態で過ごします。つまり、呼吸数や体温が著しく低下するのです。
しかも、1日に消費する脂肪は1グラム程度と、ほとんどエネルギーを消費しません。「5,000~6,000グラム(11~13ポンド)の動物にとって、これは実質的に無に等しい」と、研究主導者のガブリエラ・ピノ氏は指摘します。

調査のために、専門家はコロラド州の73匹のメスのマーモットから血液サンプルを集めました。メスのマーモットに限定したのは、幼体が巣穴から出始めた時点で年齢が判明するためです。メスは巣穴の近くにいるのに対し、オスは行ったり来たりしています。
血液サンプルは、巣穴の外に出ることができる14回の夏の期間に、2週間ごとに採取されました。このデータから、研究者らは統計モデルを構築し、冬眠中にどのような代謝の変化が起こるかを推定することができました。特に、エピジェネティックな変化として知られるマーモットのDNAに対する化学的修飾に注目しました。
エピジェネティクスとは?
私たちの体は皮膚、胃、肝臓など様々な組織から出来ており、これらは別々の細胞で構成されている。どの細胞も基本的には同じ遺伝情報を持っているのに、別々の細胞になれるのは、使う遺伝子と使わない遺伝子に目印をつけているからである。エピジェネティクスとは、これらの目印を解明する学問である。皮膚から胃ができないことに象徴されるように、エピジェネティックな目印の特徴は、一旦つくと、容易にははずれないということである。
エピジェネティクスとは? | 国立がん研究センター 研究所 (ncc.go.jp)
「マーモットのエピジェネティックな年齢は、活動期に増加し、冬眠期に停止し、次の活動期に増加し続けることがわかりました」とピノ氏は言います。

科学者たちは、マーモットのように、小さな体でなぜこれほど長い寿命を持つ動物がいるのか不思議に思っています。今回の研究結果によると、冬眠中の老化が抑制されたことから、この長期の活動休止期間が重要な役割を担っている可能性があることがわかりました。
この研究結果は、最終的には人間を含む他の種にも役立つ可能性があります。医師は、ヒトの組織や細胞に冬眠を誘発することで、臓器移植の保存方法をより良く開発できるかもしれません。さらに、宇宙旅行者は、長期の宇宙旅行中の細胞の変性に対抗するための新たな手段を手に入れることができるかもしれません。
「異なる統計的アプローチによる我々の結果は、エピジェネティックな老化が冬眠中に本質的に停止することを明らかにしています」とピノ氏は述べています。
「我々は、マーモットのエピジェネティック年齢が、活動期に増加し、冬眠期に止まり、次の活動期に増加し続けることを発見しました」
この研究は、Nature Ecology & Evolution誌に掲載されています。
via: Marmots may hold the key to longevity • Earth.com

まずキバラマーモットが8カ月も冬眠することに驚いたぞぃ
キバラマーモットの寿命は15年程度だそうじゃ
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