テングザルは、一度見たら忘れないユニークな顔をした猿です。しかし、彼らの特徴は顔だけではありません。
テングザルのユニークな生態を、10の事実を通して学んでいきましょう。
1. テングザルの最大の特徴は、異常などほど大きな鼻
テングザルの最大の特徴は、その名のとおり、何と言っても異常なほど大きな鼻です。テングザルの頭蓋骨には、大きな鼻を支える特殊な鼻軟骨があります。
鼻はオスの方が大きく、鼻の大きさによって鳴き声も大きくなると言われています。大きな鳴き声によって捕食者を威嚇したり、メスを引き付けることができます。

2. オスはメスの2倍ほど大きい
テングザルは、アジアに生息するサルの中で最も大きな種の一つです。
体の大きさの性差は顕著で、メスはオスの半分ほどの体重しかありません。オスが体長66〜76.2cm、体重16〜22.5kg(最大体重30kg)に対し、メスは体長53.3〜62cm、体重7〜12kg(最大15kg)ほどです。


3. 生息地はボルネオ島だけの固有種
テングザルはボルネオ島(カリマンタン島)の固有種で、世界中の他の地域には生息していません。ボルネオ島では、ボルネオオランウータンと共存しています。
4. テングザルは川の近くの森に住んでいる
テングザルの生息地は森と川で構成されています。水は彼らの生存のために不可欠な要件で、川から1 km以上離れて暮らすことを好みません。
普段は主に樹上生活をしており、四足歩行や跳躍によって移動し、時には枝から飛び降りて水中に飛びこともあります。そのため、移動するための木がたくさんあることも重要です。

5. 主な食べ物は葉っぱと未熟果
テングザルは、葉と未熟果を主に食べています。季節食で、1月から5月は主に未熟果を食べ、6月から12月は主に葉を食べます。
果実は未熟果であることが重要で、熟した果実は胃の中で発酵する砂糖が含まれているため、お腹が膨張して時には死に至ることがあります。
テングザルの突き出たお腹の中には4つに分かれた胃があり、これで葉を分解し、栄養を吸収します。
6. 水泳が得意
テングザルの足の指の間には水かきがあり、恐らく霊長類の中で最も水泳が得意です。20mほど泳ぐことができ、川を泳いで渡ることもあります。

7. 様々な鳴き声でコミュニケーションをとっている
テングザルは様々な発声をすることで知られています。”威嚇”、”危険を知らせる”、”子どもを落ち着かせる”などの種類があります。発声以外では、威嚇の際、飛び跳ねたり、歯を見せたりすることもあります。
8. テングザルはグループで生活する
テングザルは、グループで暮らすことが知られています。グループは、1匹のオスと最大7匹のメス、それと彼らの子供で形成されます。他に独身オスだけのグループもあります。
ただし、縄張り意識はほとんどなく、夜になると様々なグループが同じ寝床に集まってきます。

9. テングザルの天敵
テングザルの捕食者には、ワニ、ヒョウ、マレーグマ、ニシキヘビなどがいます。テングザルが川を狭窄部で渡ったり、樹上を移動するのは、こうした捕食者を回避することも理由の一つと考えられています。

10. 絶滅危惧種に指定されている
テングザルは、IUCNレッドリストで絶滅危惧種に指定されています。伐採やアブラヤシのプランテーションによって生息地が減少しています。また、一部の地域では珍味や伝統的な漢方薬として使用するための狩猟が行われており、2008年までの36-40年間で総個体数が50%以上減少しました。
現在はボルネオ島のすべての地域で法律で保護されています。
reference: Proboscis monkey – Wikipedia、Did You Know? Incredible Proboscis Monkey Facts (kidadl.com)、Proboscis Monkey – Facts, Diet, Habitat & Pictures on Animalia.bio、Proboscis Monkey | National Geographic

長い鼻が特徴的な猿じゃなぁ
飛び出したお腹と合わせて、よっぱらったおじさんのようにも見えるぞ
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