野菜などの作物を育てるためには肥料が必要ですが、肥料には欠かすことのできない「三要素」があるのをご存知でしょうか?それは、窒素、カリウム、リン酸です。
このうち、リン酸の原材料となるリン鉱石は、いずれ枯渇すると言われています。
現在、日本ではリン鉱石の産出は行われておらず、100%輸入に頼っている状態です。世界的にリン鉱石の不足が懸念される中で、取引価格が高騰しており、いずれは日本への輸入ができなくなる可能性があります。
そのため、科学者たちはこの問題への様々な解決策を模索していますが、その一つの答えが野生動物かもしれません。

減少する肥料成分の解決策は、野生動物かもしれない
現代の工業的な農業は、肥料に依存しています。肥料は私たちの生活にとって重要なものですが、その主成分であるリンが枯渇しつつあることはあまり知られていません。
肥料となるリンは、岩石から採掘されます。リンは肥料として田畑に撒かれた後、洗い流され、やがて海の奥深くに埋もれていきます。一度流された肥料は回収されず、有限の資源を使い果たすことになるのです。
Science of the Total Environment誌に掲載された新しい研究では、減少するリンの解決策として、野生動物が挙げられています。研究の著者には、北アリゾナ大学の博士研究員であるアンドリュー・アブラハム博士、クリス・ドーティ准教授らが名を連ねます。

「かつて、クジラ、海鳥、魚、クマなどの動物は、海底のリンを陸上に戻すという重要な役割を担っていました」とアブラハム博士は述べています。
「そうすることで、生物圏にこの栄養素を保持し、肥沃な地球を支えていたのです。しかし、現在、種の絶滅、個体数の減少、フェンスやダムの建設により、この栄養素輸送サービスは90%以上減少しています」
人間の建造物によって動物の移動能力が低下し、野生動物の個体郡が孤立化した現在、リンを主に移動させているのは私たち人間です。私たちは、この栄養素の利用効率が驚くほど悪く、その多くを海に流しています。
「私たちの研究によって、歴史的に野生動物が大量のリンを運搬してきたことを示すことができました。これは塵埃(じんあい)の堆積や山火事など、他の重要な資源サイクルと同程度のものです」
「しかし、重要なことは、野生動物がリンを土地に戻すことができるということです。相互につながった動物社会を回復させることで、古くから行われてきた自然の循環経路を活性化させ、かけがえのない要素を保護することができます」
動物は尿や糞、そして自分の体を通して自然にリンを移動させます。これは農業にとってだけでなく、自然の生態系の健全性にとっても極めて重要なことです
この生態系サービスを維持するために、科学者たちは炭素市場のような取引スキームを提案しています。そうすれば、地域社会は、採掘されたリンと、鳥の糞から採取されたリンのような自然由来のリンのどちらからも利益を得ることができるようになるのです。科学者たちは、この方法が野生生物の個体数の回復と地球の健全な機能の維持に役立つと期待しています。
reference: Wildlife may be the answer to dwindling fertilizer ingredient • Earth.com、肥料を節約できる菌とは? リン酸資源の枯渇に福音か|マイナビ農業 (mynavi.jp)、肥料の三要素 – Wikipedia、リン鉱石 – Wikipedia

人間の活動は地球に対して様々な影響を与えておるんじゃ
それを戻すにはとても大きな努力が必要なんじゃな
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