クモやカマキリなどの昆虫は、交尾後にメスがオスを食べることが知られています。しかし、オスも黙って食べられるだけではないようです。
新しい研究では、マツガエウズグモのオスは交尾の後、食べられる前に自らをカタパルトのように発射し、捕食されるのを避けていることがわかりました。
雄グモはアクロバティックなカタパルトで性的な共食いを回避している
新しい研究では、ある種類の雄グモは交尾後、パートナーからすぐに離れるためにアクロバティックなカタパルトで脱出していることが判明しました。それは彼らが寄り添う時間を嫌がっているからではありません。それは、そこに留まっていたら食べられてしまうと知っているからです。
「私たちは、あるクモの交尾が通常のカメラでははっきりと録画できないほどの速さの宙返りによって終了することを発見しました」と、中国武漢にある湖北大学の主執筆者、シーチャン・チャン氏は述べています。
研究者たちは、交尾直後のマツガエウズグモ(Philoponella prominens)を調査しました。その結果、オスは第一脚の関節を使い、秒速88センチメートルという速さで相手から跳ね飛んで逃げていることがわかりました。

155回の交尾を観察すると、そのうち152匹(97.4%)のオスがメスから跳ね飛んで離れ、その全員が生き延びました。しかし、交尾後に飛び立たなかった3匹のオスは、パートナーに殺され、食べられてしまったのです。
次に、研究チームは30匹の雄グモの背中の後ろに細いブラシをつけ、交尾後のジャンプを阻止しました。すると、これらのクモはすべてメスに捕獲され、食べられてしまいました。
高解像度のビデオ映像から、オスが跳躍する際の速度と加速度を計算しました。その速度は毎秒31.6〜88.2センチメートルで、加速度は1秒間に74.2〜528.7m/sq。カタパルトで空中に舞い上がるとき、1秒間に平均約174回も回転していることがわかりました。
この研究成果は、学術誌『Current Biology』に掲載されています。
研究対象であるマツガエウズグモのオスは、メスと6回も交尾することがあります。彼らは自ら張った安全確保のための糸を持っており、いったん落ちても再び交尾のために戻ってくることができるのです。
運動能力に優れたオスのクモは、このカタパルト運動を何度も行うことができるため、何度も交尾することができ、子孫を残すチャンスが増えるのかもしれません。

チャン氏は次のように語っています。
「カタパルトを行えないオスは、メスに共食いされることが確認されました。オスが飛び出す行動は、メスの共食いに対抗するために進化したと考えられます」
「また、メスは交尾の際にこの行動でオスの質を判断しているのかもしれません。オスがカタパルトを行えない場合は殺し、オスがカタパルトを何度も行える場合はその精子を受け入れるのです」
reference: These Male Spiders Acrobatically Catapult to Avoid Sexual Cannibalism (treehugger.com)、Philoponella – Wikipedia

飛び跳ねて逃げないと食べられてしまうとは、なんとも厳しい世界じゃ…
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