西イングランド大学のアンドリュー・アダマツキー氏は、エノキタケ、スエヒロタケ、サナギタケ、Ghost fungus(Omphalotus nidiformis)の電気的活動を分析しました。
その結果、キノコなどの菌類にはこれまで考えられていたよりもはるかに複雑な電気的な「言語」が存在することがわかりました。

アダマツキー氏によると、菌類の語彙は最大で50語に達し、最も頻繁に使われる単語は15~20語程度であったとのことです。
動物の体の中では、神経細胞が神経系と呼ばれるネットワークを介して、生物のある部分から別の部分へとメッセージを伝達しています。神経系の「言語」は、神経細胞がインパルスと呼ばれる突発的な電位を発生させることで構成されており、生物はこのパターンによって周囲の状況を察知し、迅速に反応することができます。

キノコなどの菌類は土の中で菌糸によって繋がっています。神経系を持たない菌類は、この菌糸を伝って電気的インパルスを伝達しているようです。これは動物の神経系によく似ています。
菌類はこの独自の「言語」を使い、食物の場所や危険の可能性などの情報を離れた相手と共有している可能性があるとのことです。
地下のコミュニケーション・ネットワーク

菌糸体が情報を伝達しているという証拠はこれが初めてではありません。
菌根菌(きんこんきん)は植物と共生する菌類で、土の中に張り巡らせた菌糸によって他の菌類との広大なネットワークを持っています。この菌根菌は植物にリン酸や窒素などの栄養素を供給しています。これによって植物は栄養を得られる範囲が格段に広がり、乾燥にも強くなります。また、植物から菌類には炭素化合物が供給され、植物と菌類が相互に恩恵を受ける関係になっています。
菌根菌だけで繋がっている植物を使った実験では、ある植物が虫に襲われると菌根菌で繋がった隣の植物の防御反応も活性化することが分かっています。菌類のネットワークを介して、警告の信号が伝わっていると考えられます。
また、植物が菌糸を通じて伝達するのは、単なる情報だけではないこともわかってきました。ある研究では、樹木を含む植物は、糖などの炭素化合物を近隣の植物に伝達することができるようです。このような菌糸を介した養分の伝達は、特に若い木の生育を助けるために有効であると考えられます。
今回の結論には議論の余地あり?

菌糸の電気信号を言語として解釈することは魅力的ですが、この新しい発見には別の見方もあります。
電気信号のリズムは、菌糸に沿って栄養分が流れる様子と似ているため、コミュニケーションとは直接関係のない菌類細胞内のプロセスを反映している可能性があります。
栄養分と電気のリズムは、菌類が栄養分を求めて周囲を探索する際の成長パターンを示しているのかもしれません。そうなると、電気信号がコミュニケーションを表すものではない可能性もあります。
今回の研究で検出された電気信号が何を意味するのかを明確にするためには、さらなる研究が必要です。
reference: Fungi Use Electrical ‘Language’ to Communicate with Each Other: Study | Sci-News.com、Omphalotus nidiformis – Wikipedia、スエヒロタケ – Wikipedia、Enokitake – Wikipedia、サナギタケ – Wikipedia、神経細胞 – Wikipedia、菌根菌 – Wikipedia

キノコが土の中でおしゃべりしていたなんて、考えてもみなかったぞぃ
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