生ける宝石!3000万円以上の値がついた傑作プードル失踪事件の謎

イヌ

1953年2月、マンハッタンにある人気ショップのショーウィンドウの前で、ニューヨーク市警の警官たちが押し寄せる人々を押し退けていました。ウインドウの中には、赤いベルベットの箱の上に一匹のプードルが座っています。

このマスターピースという名の犬は、ある男性が完璧な犬を作ろうとした結果生まれた有名なプードルでした。当時、世界で最も高価な犬として知られていましたが、間もなく、彼は未解決事件の犠牲者となるのです。


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傑作プードルの誕生

マスターピースの生みの親は、1895年にロシアで生まれたアレクシス・プラスキーという男性です。1917年の共産主義革命まで帝政ロシア軍に所属していたプラスキーは、ロシアの多くの上流階級とともに国外へ逃亡しました。1925年、伯爵を名乗って渡米しましたが、その肩書きは自称だったのかもしれません。

長身で銀髪、堂々たる風貌で、説得力のある人物でした。ロシアでドーベルマン・ピンシャーを飼育していた彼は、1939年に友人のプードルを預かったことをきっかけにこの犬種に目をつけ、マンハッタンの元酒場を借りてプードル社を設立します。

この会社は、プードル専用のグルーミングやアクセサリーを提供する高級ペット用品店として運営されていました。それはいわば、プードルのための豪華な社交クラブだったのです。

1946年、シルバーグレイの子犬が彼の目に留まります。このプードルなら競技会で優勝する犬になると確信した彼は、わずか8週間の訓練で、この犬を「プラスキーのマスターピース(傑作)」という名でアメリカン・ケネルクラブに登録しました。

マスターピースが競技会に出場するようになると、やがてプラスキーの夢であったドッグショータイトル三冠を達成します。プラスキーは、この愛犬は通常の競技会ではなく、何かもっと大きなことをする運命にあるのではないかと考えました。そして、世界各国から特別なゲストを招いてカクテルパーティーを開き、マスターピースの芸でゲストを楽しませるようになります。

高まる名声

マスターピースの名声が高まるにつれ、彼の生活スタイルも変化していきました。ブロンクス動物園の元ライオン調教師を雇って芸を教え、美容師、ボディーガード、プロの旅行コーディネーターなど、側近がどんどん増えていきました。自宅には、マスターピース専用のベルベットの天蓋が付いたベッドもありました。

マスターピースの最大の収入源は繁殖とモデル活動で、年間約1万1千ドルを稼いでいました。彼の子供は300匹以上になり、飼い主にはジュディ・ガーランド、ゲイリー・クーパー、エバ・ペロンという著名な俳優たちがいます。

やがてマスターピースは、靴下、靴、絨毯、電話などの広告にも登場するようになりました。プラスキーは、当時流行していた「プードル・ヘアー」という巻き毛の髪型も、彼がヒントになったと言っています。

プードル・ヘアー

アメリカン・ケネルクラブによると、パキスタンの王子アリ・カーンは、妻の映画スター、リタ・ヘイワースにこの犬をねだられ、プラスキーに2万5000ドル(現在の25万ドル=3,200万円に相当)で譲ってくれないかと提案します。プラスキーはこの申し出を断りましたが、それでも愛犬の評価には満足していました。

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謎の失踪

1953年5月29日、プードル社はいつもと同じような一日を送っていました。マスターピースを含む犬たちがクッションに寝そべり、ナイトクラブのハープ奏者がBGMを演奏します。

午後1時過ぎ、外出していたプラスキーさんが戻ってきて、店に入ってきた客たちを楽しませようとマスターピースを呼びました。しかし、返事がありません。プラスキーと従業員たちが建物を探しましたが、マスターピースはどこにも見つからず、すぐに警察を呼びました。

その後数週間、13州の警察とボランティアが街中を捜索し、マスターピースの取引先であるゴッサム・ホッシーリー社は、3500枚の迷子犬のチラシを配りました。

「あのような犬を盗むのは、ホープダイヤモンド※を盗むようなものだ。彼は世界中に知れ渡っている。誰も逃げられないんだ」と、当時のプラスキーは言っています。

補足

ホープダイヤモンドは、現在スミソニアン博物館に所蔵されている45.52カラットのブルーダイヤモンド。持ち主に不幸が訪れるという呪われた宝石としても有名。

しかし、結局泥棒は逃げおおせました。プラスキーさんの大事なプードルは消えてしまったのです。

唯一の手がかりは、赤いコートを着た上品な黒髪の女性が、灰色の小型犬を連れてプードル社を出て行くのを見たという目撃者の証言です。その目撃者は、プードルがリードを持っていないのに、とても従順に後をついてくるのが奇妙だと感じていたそうです。

以前、マスターピースはプードル社から逃げ出したことがあり(その時は近くのリネンショップにいて、従業員が通報して帰宅させた)、マスターピースが自分の意志で出て行った可能性もあります。

結局、それ以上の有力な手掛かりや、身代金の要求はなく、いまだ真相は謎のままです。もし誘拐されたのであれば、彼は個人的なペットとして余生を過ごしたのかもしれません。

マスターピースの失踪後、プードルは上流階級を虜にしました。エリザベス・テイラー、グレース・ケリー、キャサリン・ヘップバーンなどの映画スターが愛犬のプードルを披露し、プードルはファッショナブルな女性たちの究極のアクセサリーとなったのです。1968年、アメリカン・ケンネルクラブは、プードルの新規登録のためだけに38人を雇用しました。

プラスキーはその後もプードルの繁殖を続けましたが、マスターピースに匹敵するような犬が生まれることはありませんでした。1968年、プラスキーは73歳で亡くなりました。

reference: Masterpiece: The Kidnapped Poodle | Mental FlossMasterpiece The Poodle – The Great Mystery | PoodleHQ

過去にこんな事件があったんじゃな!

3000万円の値がつく犬とは…すごいのぉ…

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