日本では、小学校の登校時間になると交差点や横断歩道に保護者が立ち、交通事故から子どもたちを守っています。
海外では小学校くらいの年齢の子どもは親が送り迎えするか、スクールバスに乗って登校することが多いようです。
ニュージーランドのある幼稚園には、学校の駐車場を監視して回る変わった交通巡視員がいるようです。
トレイシー・トリッグさんは、ニュージーランドのニューステッドで幼稚園と小さな農場を経営しています。毎朝、彼女は交通巡視員に蛍光ベストを着せています。その交通巡視員とは、ヘンリーというメスのニワトリのことです。
ヘンリーは午前8時の始業前の約15分間、駐車場を闊歩して車に近づき、鳴き声をあげて生徒たちに挨拶します。ヘンリーが巡回していることを知っているドライバーたちは、学校付近を慎重に運転しています。
迷子のニワトリ

ヘンリーがやってきたのは2020年のことでした。
トリッグさんの友人宅に、突然一匹のニワトリが迷い込んできたのです。どこから来たのかは誰にもわかりません。
友人はエサをあげて世話をしていましたが、家に忍び込んでカーペットの上で排泄することが続いたので、ヘンリーはトリッグさんの農場に引き取られることになりました。
「私はその週末、ヘンリーを他のニワトリと一緒に小屋に入れたんです。でも、月曜日に園児たちが集まってくると、彼女は勝手に駐車場に行ってしまっていたんです」
園児の一人は、このニワトリが自分の家で飼っているヘンリーという名前のニワトリだと確信したそうで、子供たちはそう呼ぶことにしたそうです。
「(男性名であるヘンリーという名前を付けられても)ヘンリーは気にしていないようです」とトリッグさんは言っています。
ヘンリーが幼稚園に慣れて歩き回るようになると、朝は駐車場、ティータイムとランチタイムはスタッフルームをうろつくようになりました。
「彼女はテーブルの下にあるパンくずを探すのが好きなんです」
ニワトリ用蛍光ベスト

トリッグさんは、ヘンリーが駐車場でドライバーに向かって鳴いているのに気づいたとき、ヘンリーのために蛍光ベストを注文することに決めました。
「『ニワトリ用蛍光ベスト』で検索してみたら、なんとニュージーランドの養鶏業者が扱っていたので注文してみたんです。ヘンリーにこれを着させることで、子どもたちにも駐車場や車の周りでの安全確保が必要であることを学んで欲しいのです」
トリッグさんは、粉チーズでヘンリーを誘い、マジックテープ式のベストを翼の下に固定しました。
「このジャケットを着ると、リラックスして素直に従うんですよ。今では、朝一番に着て、お昼になると脱いでいます。粉チーズがある限り、彼女は喜んでやってくれます」
卵探し

幼稚園の保護者たちは、毎朝、駐車場を闊歩するヘンリーを見るのが楽しみだそうです。
モリーちゃんの母親のマキルマーレイさんは、「ヘンリーはとても面白いんです」と話します。
「駐車場にいるニワトリを迷惑だと思う幼稚園もあるかもしれませんが、この園ではこんな愉快な事をしてくれるので楽しいです」
ヘンリーのパトロールには小さな問題もあります。トリッグさんは次のように説明します。
「彼女は隠れて卵を産むのが好きなので、私たちは卵を探さないといけないんです。ヘンリーは1日1個の卵を産みますが、同じ場所に産むことはめったにありません」

みんな楽しそうで何よりじゃな
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