セイウチは、二本の牙が特徴的なずんぐりとした大型の海洋哺乳類です。
通常は北極海などの寒冷な地域に生息していますが、2021年の春から夏にかけて、一匹のセイウチが西ヨーロッパの各地を旅し、人々に笑顔と恐怖を提供しました。

2021年3月、ウォーリー※と名付けられた800kgのセイウチがアイルランドで初めて目撃されました。以降、ウェールズ、スペイン、フランスなど西ヨーロッパ沿岸を旅していきます。
ウォーリーという名前は、短編映画シリーズ「ウッディー・ウッドペッカー」に登場する”ウォーリー・ウォーラス”というキャラクターから付けられていると思われます。
ウォーラスとはセイウチの意味で、牙を見てもわかるように、キャラクターもセイウチをモチーフにして作られています。

なぜウォーリーがこれほど南下してきたのか?獲物を追いかけていた、流氷の上で眠っている間にアイルランドで目覚めた、など様々な説がありますがよく分かっていません。

ウォーリーは各地で”タマちゃん”のような扱いを受け、コロナ禍で苦しむ人々に明るい話題を振りまきましたが問題もありました。
セイウチは半水生で、休息するためには陸に上がる必要があります。ウォーリーが休もうとして乗り上げた小さな船は、重さに耐えられず、少なくとも2隻の船が転覆し、他の船にも大きな被害を与えたのです。

動物愛護団体のブリティッシュ・ダイバーズ・マリン・ライフ・レスキュー、通称BDMLRは、ウォーリーのために即席の大きな浮き輪を作りました。陸に上がるときには、船ではなくこちらを選んでもらうためです。幸い、この作戦は成功し、ウォーリーが7月にスキリー諸島に滞在した際には、この浮き輪の上に乗っている姿が見られました。

また、ウォーリーが何週間も滞在したウェールズでは、ウォーリー人気に便乗して様々なお土産が売られ、パブではウォーリーブランドのビールが提供されていたそうです。
ヒトデを鼻に乗せてバランスをとるなど、ユーモアに溢れ、愛されたウォーリーでしたが、9月末頃には北極海へと戻っていきました。

フェイスブック上には、ウォーリーに対して次のようなコメントがあります。
「彼が自分の家に戻って、二度と会えないことを願っています。それが彼の幸せであり、彼の居場所なのです。ただ、誰もがウォーリーのことをいつまでも覚えているでしょう」
reference: A Walrus Named Wally Is Adorably Terrorizing Ireland | Mental Floss、New pictures show Wally the Walrus relaxing on a small boat in Crookhaven (irishexaminer.com)、Watch: Wally makes latest appearance off Co Cork coast (irishexaminer.com)、That Tenby Walrus – What a Wally he was! – Pembs Mag、Memories of Wally the walrus on the first anniversary of his sighting | The National Wales、Wally Walrus | The Woody Woodpecker Wiki | Fandom

最後のコメントのとおりじゃな
それぞれ居るべき場所があるんじゃ
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