ボルネオ島で発見された謎の猿。その正体はこの地域の問題点を浮き彫りにする

サル

ボルネオ島は、日本の国土の2倍近い広さがあり、インドネシア・マレーシア・ブルネイ三カ国の領土があります。赤道直下の温暖な地域で、熱帯雨林には現在確認されているだけで13種の猿が生息しています。

2017年、このボルネオ島で謎の猿が発見されました。研究者の分析によって判明した猿の正体は、この地域のある懸念を示しています。


謎の猿。腕に乳児を抱えている

研究者たちは、この謎のサルの正体はテングザル(Nasalis larvatus)とシルバールトン(Trachypithecus cristatus)の子どもである可能性が高いと結論付けています。これらは同じ生息地を共有する遠縁の2種の猿です。

コロナウイルスによる規制によって、研究者はこのサルが生息する森を調査することができなかったため、代わりに2017年にソーシャルメディアに掲載され始めた写真を分析しました。当初、このサルは子どもとされていましたが、2020年に撮影されたより新しい写真から、この動物が成熟したメスであり、自分自身の乳児を抱えている可能性があることが明らかになりました。

「彼女は赤ちゃんに授乳しているように見えます」と、研究共著者であるマレーシア科学大学の霊長類学者、ナダイン・ルパート氏は語っています。

通常、異種交配では生存可能な子どもは生まれませんが、非常に近縁な種の場合は、野生で交配し、雑種を生み出すことがあります。例えば、タイのある地域ではキタブタオザル(Macaca leonina)とミナミブタオザル(Macaca nemestrina)が交雑しているといいます。しかし、交雑する種は一般的に類似しており、同じ進化グループ、つまり生物分類上の同じ「属」に属しています。テングザルとシルバールトンはそうではありません。

謎の猿は、テングザルとシルバールトンの生息域が重なるキナバタンガン川付近で発見されました。しかし、この2種のサルは見た目が大きく異なります。

大人のテングザルは鼻が長くピンクがかった顔で、大人のシルバールトンは鼻が短く平べったく黒い顔です。また、テングザルのほうが大きな体格をしています。

両種とも、支配的なオスと複数のメス、そしてその子供たちで構成される集団で生活しています。この集団に生まれたオスは成熟すると集団から追い出され、自分の集団を作ったり、他の集団を乗っ取るようになります。しかし、生息地の減少によって、オスが行ける地域が限られてきているとルパート氏は言います。

「写真家が行った観察から、この地域ではテングザルのオスがシルバールトンのメスと交尾しており、シルバールトンの赤ちゃんの世話をするメスのテングザルがいることもわかりました」

テングザルのオスは、その大きな体を利用してシルバールトンのオスを追い出し、その群れを占拠しているのかもしれません。研究者たちは、写真に写っている謎の猿がテングザルのオスとシルバールトンのメスの子どもであると考えています。写真の猿は、両種の特徴に共通しているためです。例えば、鼻はテングザルのメスのように見えますが、それほど細長くはなく、顔の皮膚は灰色です。

異種から生まれたハイブリッドの多くは生殖能力がない場合が多いため、この謎の猿が赤ちゃんを抱えているのはさらに珍しいと言えます。他の母親の子どもを抱いている可能性もありえますが、写真には乳房が膨らんでいる様子が写っており、自身の子供であることを示唆しています。

この発見はユニークで興味深いようですが、ルパート氏はある問題点も指摘しています。「アブラヤシ農園に囲まれた狭い水辺の森で、両種が窮屈な思いをし、餌や交尾の機会を奪い合っているのは悲劇です。私は人々が、彼女を見世物としてではなく、保護すべき地域の問題点を代表する動物として扱ってほしいと思います」

この研究は、2022年4月26日にInternational Journal of Primatologyに掲載されました。

reference: Borneo has a hybrid ‘mystery monkey,’ and researchers are concerned | Live ScienceSilvery lutung – WikipediaProboscis monkey – Wikipediaボルネオの野生生物 (mongabay.com)Northern pig-tailed macaque – Wikipediaミナミブタオザル – Wikipedia

もしかすると、こういった形でも種の多様性が失われていくのかもしれんな

コメント

  1. いや種が多様になっとるやん

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