ガラパゴスゾウガメは地球上で最も長生きする動物のひとつで、100歳以上生きることも珍しくなく、中には175歳まで生きたという記録もあります。
彼らはどうしてそれほど長寿なのでしょうか?新たな研究は、この種のゲノムを解析することでこの謎に迫ります。
ガラパゴスゾウガメとは?
ガラパゴスゾウガメは、ガラパゴス諸島固有のゾウガメで、亜種を含めた十数種で構成されています。チャールズ・ダーウィンは、彼らが島ごとに異なる身体的特徴を持つことに気づき、彼の発表した進化論に影響を及ぼしたと言われています。以来、ガラパゴスゾウガメは生物学と長い関わりを持つことになります。
ガラパゴスゾウガメの中で最も有名な個体はロンサム・ジョージです。1971年、彼は絶滅したと考えられていたピンタゾウガメの最後の一匹として発見され、絶滅に瀕する動物の象徴的な存在となりました。種を残すための繁殖計画などもありましたが、結局子孫を残すことはなく、2012年に亡くなります。これにより、ガラパゴスゾウガメは新たに一種を失うことになりました。

遺伝子に隠された秘密
多くの動物にとって癌は長寿の大敵であり、大型の動物ほど癌の発生率が高いとされています。それは、より多くの細胞が癌化する可能性があるという非常に単純な理由によるものです。
そうであれば、体長1メートルを超える大きな体のガラパゴスゾウガメは癌にならないのでしょうか?この秘密を探るため、研究チームはこのカメのゲノムを調査しました。
その結果、ガラパゴスゾウガメは他のカメ類と比較して、いくつかの遺伝子、特に長寿と腫瘍抑制に関連する遺伝子のコピーを余分に持っていることが判明しました。腫瘍抑制とは、損傷を受けた細胞が癌化する前に自滅させるプロセスのことで、生物は歳を重ねるにつれ、このプロセスが遅くなっていきます。
この研究の筆頭著者であるヴィンセント・リンチ氏は、「研究室では、老化に似た方法で細胞にストレスを与え、そのストレスにどれだけ耐えられるかを見ることができます。そして、ガラパゴスゾウガメの細胞は、そのストレスが癌のような病気を引き起こす前に細胞を自滅させるプロセスがとてもよく機能していることが判明しました」と語っています。
人間の長寿への利用

癌や老化の生物学的メカニズムの理解を深めることは、科学の進歩というため点でも価値のある試みですが、カメのゲノムに隠された秘密のいくつかが、いつの日か人間の長寿にも役立つ可能性があります。
「もし自然界が行ってきたこと、つまり、ある種が長寿のために進化してきた方法を特定することができれば、その発見を人間の健康や、病気の治療に役立つものに変換する方法を見つけることができるかもしれません。ガラパゴスゾウガメの遺伝子で人間を治療しようとは思いませんが、ある重要な機能を模倣した薬剤を開発することは可能かもしれません」
この研究は、Genome Biology and Evolution誌に掲載されました。
reference: Galapagos tortoise genome reveals secrets to long, cancer-free lives (newatlas.com)

長寿じゃが、種自体が絶滅に瀕することになるとは…
難しいものじゃな
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