孤児のマウンテンゴリラのンダガシは、同じ境遇のンデゼと共にレンジャーのマチュー・シャマブ氏が撮った自撮り写真で世界的な注目を集めました。
しかし、2021年9月、14歳だったンダガシは闘病の末、最もお世話になったレンジャーの腕の中で息を引き取りました。
ンダガシが保護されていたヴィルンガ国立公園のセンクウェクウェ・センターは、以下のような声明を発表しています。
「10年以上にわたってセンクウェクウェ・センターで保護してきた愛する孤児のマウンテンゴリラ、ンダカシの死を心から悲しんでいます。ンダカシは、世話人であり生涯の友であるアンドレ・バウマの愛情に満ちた腕の中で息を引き取りました」

2007年、武装民兵に銃殺された母親の遺体にしがみついているところをレンジャーに発見されたとき、ンダカシはわずか生後2カ月でした。彼女を発見したレンジャーの一人であるバウマさんは、保護した日の夜、彼女を自分の胸に抱きしめて慰め、それ以来、彼女の世話をし続けてきました。
保護された当初、彼女は重い肺炎を発症し、命の危機に陥ります。彼女のために建てられた一時的な酸素テントの中で、獣医チームによる24時間体制の治療が施されました。周りの助けを受け、なんとか病気を乗り超えることができた彼女は、徐々に健康を取り戻していきます。

2009年、新しく設立されたセンクウェクエ・センターへと移された彼女は、脆弱で野生に戻ることができないと判断された他の孤児マウンテンゴリラと一緒に生活するようになります。
彼女の様子はドキュメンタリー映画「ヴィルンガ」で紹介され、2019年には、先述の自撮り写真がインターネット上で大きな注目を集めたことで有名になりました。
2021年、死の数カ月前から不調を訴え始めていたンダカシは、医師による治療を受け、一時は回復の兆しも見られていました。しかし、再び急激に体調が悪化すると、治療の甲斐なく、亡くなってしまったのです。

彼女の最期を腕の中で受け止めたバウマ氏は、以下のような声明を発表しました。
「ンダカシの優しい性格と知性によって、私は人間と類人猿のつながりや、なぜ私たちが類人猿を守るために力を尽くさなければならないかを理解することができました。私はンダカシを友人と呼べることを誇りに思います。私は彼女を子供のように可愛がり、彼女の明るい性格は私の顔に微笑みをもたらしてくれました。ンダカシがセンクウェクエで過ごした期間、私たちに心の豊かさをもたらしてくれたことを永遠に感謝します」

コンゴ東部のヴィルンガ国立公園は、世界最後のマウンテンゴリラの生息地です。隣国のルワンダとウガンダにもマウンテンゴリラの一部が生息しており、その数は合わせて1,000頭以上になります。
ヴィルンガ公園を含む周辺の地域では、20年以上にわたって武力紛争が続いています。不安定な状態にあるこの地域で野生動物を守るため、今日でも700人近いレンジャーが命をかけて活動しているのです。
reference: A mountain gorilla, famous for a selfie, has died in her caretaker’s arms : NPR、In pictures: The life of Ndakasi, a gorilla who went viral – BBC News、Ndakasi – Gorilla Doctors Gorilla Doctors、Ndakasi – Wikipedia

残念じゃな。ただ、彼女の存在がマウンテンゴリラたちが置かれている状況に人々の目が向くきっかけになればと思う
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