野生の動物にとって大きな怪我は、食事を摂ることも捕食者から逃げることもできなくなるため、すぐに致命傷になりえます。さらに言えば、先天性疾患によって体の一部を失って生まれてきた赤ちゃんが生き延びることは、ほとんど不可能といえます。
しかし、そうした動物たちを保護し、新しい人生を歩ませようと活動している人たちがいるのです。

2017年、トライアンフと名付けられたコアラは瀕死の母親と一緒に発見されました。まだ赤ん坊だった彼には後ろ足の先がありませんでした。彼を見つけた人たちは事故によるものだと考えていましたが、検査の結果、生まれつきの欠陥であることがわかりました。
彼はブリスベンの南にあるコアラの保護施設「Friends of the Koala」に引き取られることになり、彼を救助してくれた一人である動物看護師のマーリー・クリスチャンさんによって世話をされています。
彼女はトライアンフに献身的に尽くしており、トライアンフも彼女を気に入っているそうです。
トライアンフのインスタグラムによると、トライアンフはマーリーさん以外には噛みつき、マーリーさんの声を聞いた瞬間、どんなに遠くにいてもマーリーさんを探し出すのだそうです。
素晴らしい場所で素晴らしい人々と過ごす彼ですが、唯一の問題は、足がないため、登ったり、ジャンプしたり、自由に動きまわることができないことでした。
マーリーさんは世界中からコアラの義足を作れる人を探しました。アメリカのペット義肢を専門とする会社に義足を作製してもらいましたが、何度も失敗し、結局あきらめてしまいました。

しかし、幸運なことに地元の歯科技工士がトライアンフのことを耳にしたのです。
ジョン・ドールマンさんは差し歯や人工顎を作るのが専門ですが、コアラの義足を作るのもそう違いはないだろうと直感しました。彼はトライアンフの足先を型取りし、ゴム製でベルクロで取り付けるブーツのような義足を作りました。底面にはグリップと安定性を高めるための溝が掘られています。

マーリーさんがそれを履かせた途端、トライアンフはすぐにそれを気に入ったようでした。
「小さなブーツを履かせたら、小さくジャンプをしたかと思うと、走り回ったり、登ったりしたんです。私は思わず泣いてしまいました。私はこの子のためならどんなことでもします」とマーリーさんは言います。

今回の成功は、本来専門外の仕事を自分のスキルを活かして創造的に解決させたジョンさんのおかげでした。「彼が困っていると聞いていたので、彼を助けることができたのは本当に素晴らしい気分です」
トライアンフは新しい足のおかげでうまく移動できるようになっています。ジョンさんはもう少し良いデザインに仕上がるまで、このまま作業を続けるそうです。
トライアンフはもうすぐ5歳になりますが、「Friends of the Koala」で快適に生活しています。「彼はここでとてもいい生活を送っていますよ」とマーリーさんは言っています。

問題の解決策は、思いもよらない身近なところからやってくることもあるようです。
reference: Rescue Koala With Missing Foot Gets Spiffy New Prosthesis Thanks To Local Dentist. (inspiremore.com)、New limb for Triumph, the koala born with missing foot, thanks to Lismore dental prosthetist – ABC News

野生動物はそのままにすべきという人もいるじゃろうが、そもそも人間には野生動物に対して多大な借りがあるはずじゃ
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