あなたは、動物がおしっこをする時間について考えたことがありますか?
サイは犬よりも大きな膀胱を持ち、バケツ一杯分の尿を出します。普通に考えれば、より体の大きな動物のほうが長い時間をおしっこに費やしていると思われますが、実際のところはどうなのでしょうか?

動物園での観察
ジョージア工科大学の科学者たちは、この疑問を解明するため研究に取り組みました。
検証のため、アトランタ動物園の動物たちがおしっこをする様子をハイスピードカメラで撮影しました。対象となったのは、ネズミ、ジャガー、ゴリラ、ゾウなど32種類の動物で、排尿の様子を細かく分析しました。その様子は以下の動画で確認できます。
その結果、意外なことに体重2.7kg以上の哺乳類の排尿時間は、大きさに関係なく、ほぼ同じであることが判明したのです。具体的には、対象となった動物たちのおしっこにかかる時間は平均で21秒、±13秒の間に収まっていました。
「ゾウの膀胱は18リットルあり、猫の膀胱の5ミリリットルの3,600倍近くあることを考えると、この不変性は注目に値します」と、科学者たちは「National Academy of Sciences」に投稿した論文の中に書いています。
体の小さな動物には当てはまらない

猫がスプーン1杯の尿を出すのにかかる時間と同じ時間で、ゾウが2Lペットボトル9本分の尿を出せる理由は流量に集約されます。ゾウは膀胱から体外に尿を送り出す尿道が太いため、猫よりも早くおしっこが出ていきます。また、ゾウの尿道は長いので重力の力がより強く作用するのです。
しかし、マウスやラットなど体重2.7kg以下の動物は、21秒ルールには当てはまりません。なぜなら、彼らの尿路は非常に細く、毛細管現象(細い管の中を流れる液体が壁に付着して、自然と管の中を上昇する現象)と戦わなければならないからです。おしっこは粘度が高く、ゆっくりと流れるため、小さな動物では尿を噴射することができません。その代わり、尿は小さなしずくとなって落ちていくのです。
なぜ2.7kg以上の哺乳類で、大きさが異なっていても21秒ルールが成立するのかは不明ですが、研究者らはこれは進化的適応というよりも物理学の問題であると指摘しています。
また、研究者たちは今回の研究が動物の排尿障害を診断する際に役立つ可能性があるとしています。例えば、動物園の飼育員がゴリラのおしっこの時間が21秒より長かったり短かったりすることに気づいたら、それは何か問題があることを示しているかもしれません。
研究結果の意外な応用
驚くべきことに、この奇妙な研究結果は建造物にも影響を与える可能性があります。論文によれば、次のようになります。
尿道は尿を下方に導くための排水パイプを提供することによって、尿に作用する重力を増大させています。それが尿が体外に排出される速度を増大させます。エンジニアはこの結果を応用して、排水時間がシステムのサイズに依存しないパイプと貯水池のシステムを設計することが可能です。この拡張性のある流体力学システムのコンセプトは、給水塔、水筒、貯蔵タンクなどの設計に利用できるかもしれません。
Duration of urination does not change with body size – PMC (nih.gov)
もしかすると、将来この研究を応用した建造物が造られるかもしれませんね。
reference: Do Larger Animals Take Longer to Pee? (mentalfloss.com)、Duration of urination does not change with body size – PMC (nih.gov)

意外な結果じゃったな
これを知っていて、人生で得をすることはないとは思うが…
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