2020年10月、フィンランドの水族館にいる不機嫌顔のハタのミッコは、コロナウイルスの大流行で施設が一時的に閉鎖されたため、とても落ち込んでいました。
彼は常に孤独を感じています。彼の水槽には魚の友達がいないから…なぜなら、彼は友達を全て食べてしまったからです。
孤独な魚

2007年に水族館にやってきたミッコは、体長1メートル、体重16kgほどの大型のハタの仲間です。以前ミッコがいたペットショップは、ミッコが水槽に入らないほど大きくなり、さらに他の魚たちを食べてしまうため手放した、と水族館の担当者は話しています。
水族館では、週に3〜4回、イカやニシン、サバなどの白身魚を食べさせています。しかし、ミッコは水槽にいるどんなものにも食欲を示し、過去には毒を持ったミノカサゴさえも平らげてしまいました。
ただ、大きくて危険な獲物を好むのはミッコだけではなく、ハタ類がサメを一呑みしたという例もあるようです。
いわゆる「ミノカサゴ事件」の後、ミッコは一人用の水槽に移されました。春の休館期間中、水族館に人が来なくなり、仲間の魚たちも奪われてしまった(?)ミッコは、とても落ち込んだ様子で、「いつもよりじっとしていて、よそよそしかった」と担当者は話しています。
「休館中、担当者や他のスタッフは彼を元気づけるため、彼の水槽のそばで昼食やコーヒーブレイクをとりました。一人で過ごす彼を相手するためのテレビもありますし、少しでも活性化させようと柔らかいブラシでブラッシングしてあげました」
しかし、ブラシを使う際には細心の注意が必要だったそうです。2019年12月、ミッコは飼育員の手からブラシをひったくり、飲み込んでしまいました。ブラシは喉に刺さり、水族館のスタッフはブラシを安全に取り除くため、ミッコに麻酔をかけなければなりませんでした。

Photo: Sea Life Helsinki
16歳の誕生日パーティー
さて、そんなミッコを励まそうと、水族館のスタッフたちはミッコの誕生日パーティーを開いてあげることにしました。16歳の誕生日を祝う特別なごちそう、サーモンケーキが届けられたのです。
10月12日にFacebookで公開された動画では、誕生日を迎えたミッコがケーキを夢中で食べている様子が映し出されています。
魚も落ち込むことがある?
コロナウイルスの影響によってミッコの様子が変わってしまったようですが、本当に落ち込んでいたのでしょうか?この話は、人間が動物の行動を恣意的に解釈しているだけだと思われるかもしれません。
しかし、生物学者たちは魚もうつ病の兆候を示すことを発見しています。アラバマ州・トロイ大学の発表した論文では、うつ病のゼブラフィッシュは人間がうつ病になったときと同じように、内向的になり、刺激に興味を示さなくなると述べています。実験においては、幸せそうな魚はより活動的で、水面近くで過ごしていたといいます。

人気者のミッコ
問題児のミッコですが、実は多くのファンを獲得しています。水族館の閉鎖期間中、ファンたちは直接彼を訪ねることはできませんでしたが、彼のことを忘れてはいませんでした。
水族館はFacebookにミッコの「ファンウォール」の写真を掲載しました。水槽の横には、この不機嫌そうなハタのファンから送られたメモや絵が展示されています。

2021年のクリスマスに公開された動画には、サンタの帽子をかぶった子供たちがミッコを見にきた様子が映されています。ミッコは、いまやフィンランドで最も有名な魚になっているそうです。

水族館にお客さんが戻ってきたことで、ミッコも元気を取り戻していくことでしょう。
reference: Famous fish that ate all his friends gets cheered up by 16th birthday party | Live Science、Suomen vihaisin kala Mikko-meriahven söi 35-senttisen pulloharjan: ”Sieltä kuului vain molaus” – HS-Helsinki – Ilta-Sanomat

自分で撒いた種なんじゃが、ミッコはそこまで理解しておらんじゃろうからのぉ…
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