もしあなたが美味しいイカやカニなら、この魚の口にだけは近づきたくないはず。なぜなら、このリングコッド(和名:キンムツ)は、体長1.5メートル、体重36キロにまで成長し、上下の顎には500本以上の鋭い歯が並ぶ世にも恐ろしい魚だからです。
新しい研究によると、このリングコッドは1日に最大20本の歯を失い、それらをすべて再生させるそうです。
第二の顎

研究の著者であるワシントン大学のカーリー・コーエン氏は「彼らの口の中のすべての骨は、歯で覆われています」と言います。
リングコッドは貪欲な捕食者で、密集した歯と大きく開く顎を使って、他のリングコッドを含む自分と変わらない大きさの獲物を食べてしまいます。この魚の口の中には、ウツボなどでも見られる咽頭顎(いんとうがく)と呼ばれる第二の顎があり、人間が臼歯を使うようにこの顎を使って獲物を噛み砕きます。
「リングコッドには人間と同じように上顎と下顎がありますが、より可動性が高く、前に伸ばしたり広げたりすることができます」
しかし、この魚がどうやって大量にある歯の鋭さを維持しているのかは、長い間謎とされてきました。

10,000本の歯を調査

リングコッドの歯の交換速度を正確に知るため、科学者たちは20匹のリングコッドを研究室で数十日間にわたって観察しました。
まず、水槽の水に赤い染料を注入して歯を染めさせました。その後、通常の海水に戻して10日間観察し、また10日後、緑の染料を水槽に入れます。こうすることで古い歯は赤と緑の両方に染まり、新しい歯は緑にしか染まりません。
1万本以上の小さな歯を丹念に調査した結果、この魚が歯を失うペースと再生するペースを知ることができました。リングコッドは毎日3パーセント、最大20本ほどの歯が生え変わっていることがわかったのです。
ワシントン大学の生物学教授でこの研究の共著者であるアダム・サマーズ氏は、「この魚には歯磨きや歯列矯正は役に立たないようです」と語っています。
魚の歯の生え変わり

この研究には参加していませんが、ライス大学の生態学者コーリー・エバンス氏によると、この歯の急速な再生がリングコッドの狩猟戦略において重要であると言います。
「リングコッドの歯が鈍ければ、獲物を捕らえるのが難しくなります。そのため、歯が生え変わる能力はかなり重要です。すべての歯は交換可能である必要があります」
魚の歯の生え変わりに関するこれまでの研究は、主にサメが対象になっているもので、サメは定期的に交換される何列もの歯を持っています。しかし、サメの歯はほとんどの魚の歯とは構造が異なるので、今回のリングコッドでの発見は、すべての魚における歯の生え変わりプロセスを理解するのに役立つ可能性があります。
コーエン氏は次のように語っています。「ほとんどの魚はリングコッドのような歯を持っています。そして、ほとんどの魚が毎日大量の歯を失い、すぐに再生している可能性が高いのです」
さらに、研究チームはリングコッドの上下の顎がそれぞれ異なる速度で歯を再生していることも発見しました。この現象についてさらなる調査を行う予定だそうです。
この論文は、『Proceedings of the Royal Society B』に掲載されています。
reference: This Fish Loses and Regrows 20 Teeth Each Day | Smart News| Smithsonian Magazine、This fish has 555 teeth … and it loses 20 every day | Live Science、Lingcod – Wikipedia

あんなのに噛みつかれたらとんでもなく痛そうじゃ
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