2020年夏、コロナウイルスの世界的な流行によって人々が自由に外を出歩くことが難しかった時期に、イギリスの海岸に現れた人懐っこいアザラシが話題を集めていました。
彼は大胆にも、人間の乗るパドルボートに勝手に同乗してくるのです。

ある日の早朝、ウィル・バッドマンさんはイギリス・ドーセット州にあるウェイマスビーチへと車を走らせていました。その目的は日の出を拝むためではなく、二カ月ほど前からビーチに姿を現していた人懐こいアザラシのサミーを探しに行くのです。
サミーが初めてビーチに現れたのはちょうどロックダウン時にあたり、外出する人がほとんどいなかったため、海岸で狩りをしたり、休んだりと、若いアザラシには快適な場所だったでしょう。
しかし、規制が緩和され気候も暖かくなってくると、彼専用のビーチだった場所には多くの人間が現れるようになりました。それを見たサミーは、他の場所を探すかと思いきや、積極的に人間の友達を作ろうとしているようでした。

「サミーは不意に人の前に現れる癖があり、サーフボードやカヤックに乗りこんできたり、泳いでいる人の背中に乗ろうとします。それに、彼はカメラが好きなようです」とバッドマンさんは語っています。
バッドマンさんはビーチを訪れると、サミーに近づきすぎないように望遠レンズを使って撮影をしていました。しかし、当の本人は自分が注目の的であることに気が付いていたようです。カメラを向けると、かくれんぼをしたり、手を振ったり、微笑んで舌を出したりと積極的にカメラに向かってポーズをとってくれました。

哺乳類のアザラシには休憩のための陸地が必要ですが、サミーの前にはたくさんの手頃なパドルボードが浮かんでおり、どれでも選びたい放題でした。ボートの上はとても快適で、泳いで岸に戻る手間もなく、体を休めることができます。ときにボートの上で居眠りするほどリラックスしていて、水をかけて起こされることもありました。
ただし、地元の有名人になったサミーですが、あくまで野生動物であるため不用意な接触は禁物です。彼を保護するためのボランティアグループが結成され、遠くから彼を見守っています。
それでも、ビーチにはサミーを見るために大勢の人が訪れ、彼らを喜ばせています。
「普段、イギリスのこの地域にアザラシはいないため、サミーの存在はとても素晴らしいです。私は彼に会いに1時間かけて来ましたが、その価値は十分にありました」とバッドマンさんも大満足だったようです。

以下の動画はバッドマンさんではありませんが、サミーがパドルボートに乗り込む様子が映されています。のんびりくつろぐ彼の様子をぜひご覧ください。

なんとも人懐こいアザラシじゃな
海に住む犬のようじゃ
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