エチオピアの高山にのみ生息するゲラダヒヒ。
特徴的で恐ろしい見た目をした彼らが主食とするものは一体なんでしょうか?

「私はエチオピアのシミエン山脈にいます。標高3,000メートルのこの場所は非現実的です。私の周りには多くのゲラダヒヒたちがいますが、全く恐れる様子はありません」

この荒涼とした高地には、ここでしか見られない動物が数種生息しています。
エチオピアオオカミもその一つです。世界で最も希少なイヌ科の動物であり、アフリカで最も絶滅に近い肉食動物でもあります。
この地にエチオピアオオカミが生き残っていることが、もうひとつの希少な生物の存在を示唆しているのかもしれません。

それは世界で唯一生き残っている完全草食の猿であるゲラダヒヒです。この種もエチオピアの高地でしか見ることができません。
ゲラダヒヒの見た目は美しく、とても目立ちます。

彼らは他のどの霊長類よりも長い時間を地上で過ごし、日中の60%の時間を食事に費やします。彼らの体を草のカロリーだけで維持するのには、それだけの時間が必要ということなのでしょう。
その行動は恐ろしい外見のヒヒというよりも、どちらかと言えばシマウマのようです。

彼らの指は高度に進化しており、人間と同じように親指が他の指と向い合せにできるようになっています。この指で草をつかみ取り、器用に種を取り除くのです。

標高3,000メートルでの生活には困難がつきものですが、ゲラダヒヒはこの危険な高さをうまく利用しています。
彼らは日が沈み始めると険しい崖を大胆に降り、狭い岩の上で一晩中身を寄せ合って過ごします。こうして外敵から身を守っているのです。
そして、夜が明けると崖をよじ登り、草を食べたり、コミュニケーションをとったりするのです。

ゲラダヒヒは動物界で最も複雑な社会構造を持っており、群れは最大で1,200匹にもなります。
研究者たちは、彼らが使う鳴き声には30以上の種類があり、それぞれが独自の意味を持つことを突き止めました。

また、他のヒヒはパートナーを惹きつけるためにお尻でアピールしますが、一日の大半を(草を食べるため)尻もちをついて過ごすゲラダヒヒには通用しません。
その代わり、彼らの露出した胸は興奮すると燃えるような赤に変わります。そのため、彼らは「ブリーディングハート・ヒヒ」(出血した胸のヒヒ)とも呼ばれています。
ゲラダヒヒはアフリカで最も印象的な動物の一つであり、独自で神秘的な生活を送っているのです。

真っ赤な胸がなんとも美しいのぉ
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