アメリカ・ユタ州にある湖沿いの道路を歩くときには注意が必要です。なぜなら、通りかかる人たちに容赦なく襲い掛かるカナダガンがいるからです。
しかし、彼は理由なくそうしていたわけではありません。彼にはどうしても守りたいものがあったのです。

すべては”見張り”から始まった
ユタ州サウス・ジョーダンに住むジョンさん、ナレルさん夫妻の家の前には、住宅と湖を隔てる舗装された小道があります。

先月、この道の真ん中で一匹のカナダガンが見張りを始めたことに気が付きました。そしてすぐに、彼が攻撃的な行動をとるのを身をもって知ることになります。
「ジョンは片方の靴が脱げ、帽子をかぶったまま家の中に走って戻ってきたんです」とナレルさんは振り返ります。
カナダガンはその夜も翌日も家の外の道に留まったままです。

ジョンさん夫妻は家の中から、あのカナダガンが道を通る罪のない近所の人たちを怖がらせているのを観察しました。
ジョンさん曰く、「彼は私の息子に向かって、時速1,200キロのミサイルのように飛んでいったんです」
“ギャングスタ”カナダガンの誕生
やがてその暴力的な行動から、彼は “Gangsta”(ギャングスタ)というあだ名をつけられるようになりました。

そのため、ジョンさん夫婦は自分たちで看板を作り、道行く人に「危険」で「非常識」なカナダガンがいることを知らせることにしたのです。
しかし、しばらくすると、ギャングスタが理由なく攻撃的な行動を起こしていたわけではないことがわかりました。彼は大切なものを守っていたのです。
それは道沿いの草むらの中にあるカモの巣です。当然ながら、彼が父親でないにも関わらず。
通行人を救う”傘”
夫妻はギャングスタが鳴きながら人々を追いかける様子を何度も記録しました。

その結果、彼は傘が嫌いであることがわかったのです。そのため、ジョンさんは傘を持ったまま玄関から飛び出し、通り過ぎる人々を助けました。


しかし、ジョンさん自身は家に入ろうとしたときに彼に襲われ、滑って転んでしまいました。彼は肘を地面に打ち付けたため、医者に行って検査するつもりです。
ただし、彼らにギャングスタを恨む気持ちはありません。
「そのことについてギャングスタに責任を問うことはありません」と、ジョンさんが笑うと、「ええ、彼を訴えるつもりはありません。ただそういうことがあっただけ」と妻のナレルさんは返します。
恐怖が愛に変わる
やがて、夫妻とギャングスタとの付き合い方は時間とともに変わっていきました。
ジョンさんは、「彼が何をしようとしているのか理解できるようになると、私にはただ、最初とは違った感情が芽生えてきたんです」と話します。

そして5週間後、卵が孵化し、ギャングスタが父親に代わって母ガモと12羽の子ガモを水辺に導く姿を見たとき、その感情はさらに強くなりました。
夫妻は、今ではギャングスタを心から愛しています。その証として、彼らは新しい看板を設置しました。そこには、「とてつもなく献身的なカナダガン」と書かれています。
注意深く見てみよう
夫妻は今でも頻繁にギャングスタに会いに行っています。無事に卵が孵ってから彼が人を襲うことはなくなり、ただカモの母子を注意深く見守っています。

さらに、ここ数週間で近所の人たちの間でも彼の評判が一変しました。彼はすっかり有名人の仲間入りを果たしたのです。
「現在、私たちは互いを簡単に見下したり、批判したりする世の中に生きています。でも、もう少し時間をかけて注意深く見てみると、比喩的になりますが、カモの卵の世話をするカナダガンを見ることができるかもしれませんよ」とジョンさんは述べています。
ギャングスタが巣を守る様子は、以下の動画でご覧ください。
YouTubeのコメント抜粋
- ギャングスタの奥さんがカナダガンじゃないのもいいよね😂🤣😂カモだよ!!めちゃくちゃ可愛い😂🤣
- ギャングスタはパパとして巣を守ってくれている。ただ…その…熱中し過ぎなのかも…🤣
- この人たちの忍耐力は賞賛に値する。彼らはあの鳥を排除することができたかもしれないが、彼らはその代わりに適応することを選んだのだ
- カナダガンがなぜこんなことをするのか、彼らが気づいてくれてよかった
- 父の日おめでとう、ギャングスタ!よく巣を守りましたね
- あのカナダガンは、どこの国の父親にとっても立派なお手本だ

ギャングスタはすばらしい父親ぶりじゃったな
それを見守る夫妻もすばらしいぞぃ
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