サンフランシスコでは空から小魚の雨が降っている

6月上旬、Redditユーザーの一人が、友人宅の屋根やデッキに20cmほどの銀色の魚が12匹も落ちていたと報告しました。この投稿に対し、何人かのユーザーも同様の出来事があったとのコメントを寄せています。

もう食べきれない

地元の漁師や研究者によると、こうした現象はサンフランシスコ沿岸で爆発的に増えているカタクチイワシによるものだといいます。

サンフランシスコ漁業組合の会長であるラリー・コリンズ氏は、次のように語っています。

「皆が私に対して、これほど厚い小魚を見たことがないと言っています。海面は何千羽もの鳥に覆われ、鳥たちはもう食べきれないという様子で、小魚を口にくわえたまま海に座っているだけの鳥もいるという話を聞きました」

つまり、食べきれないほどのカタクチイワシを口に詰め込んだ海鳥たちがそのまま飛び立ち、街の上でそれを落としてしまっているということのようです。

爆発的な増加

サンノゼの環境サービス部門の元アナリストであるジム・アーヴィン氏は、沿岸の小魚の様子を報告するブログ記事で、南サンフランシス湾のカタクチイワシの生息数が最近爆発的に増加していると報告しています。

アーヴィン氏のブログによると、4月と5月の月間総漁獲量はそれぞれ29と52であったのに対し、6月は2,600※を超えるまでに増加したと言います。これは過去2番目に多い数字です。

※正確な単位が不明です。トロール網一杯分という意味かもしれません。

サウサリトの海洋哺乳類センターで自然保護教育を担当するアダム・ラトナー氏はこの現象を、冷たい栄養豊富な水が深海から上昇し、表層の暖かい水と入れ替わる「湧昇（ゆうしょう）」という現象に起因するものだと説明しています。

ラトナー氏によると、現在の水温は例年より低く、カタクチイワシや海鳥、海洋哺乳類に対して十分以上の食料を提供しているようだといいます。気候変動により水温が高い状態が標準になる傾向があるなか、こうした現象がいつまで続くかは不明だといいます。

カタクチイワシに沸く海

カワウのように内陸の淡水湖に近い場所を好む鳥もいますが、海に魚が豊富だと沿岸に移動してくることがあるといいます。また、カッショクペリカンは毎日の採餌のために長距離を飛ぶことが多く、こうした鳥が沿岸から離れた地域でも小魚が降ってくる原因となっているのかもしれません。

さらに、カタクチイワシの大量発生のおかげで、こうした餌を食べる海洋哺乳類も大量にやってきているようで、サンフランシスコ湾沿岸では最近5頭のザトウクジラの群れが目撃されているそうです。

reference: It’s Raining Anchovies! Fish Fall From the Sky in San Francisco | Nature World News、Fish reportedly raining from the sky across San Francisco (sfgate.com)、Fish in the Bay – Alert! The 2022 Anchovy Spawn has Begun! – Otolith Geochemistry & Fish Ecology Laboratory (ogfishlab.com)、Fish Falling from Sky in Outer Richmond? : sanfrancisco (reddit.com)

もう海の中はお祭り状態のようじゃな