2000万人を超える登録者数を持つYouTubeチャンネル「Brave Wilderness」のコヨーテ・ピーターソン氏が、カナダでビッグフットを思わせる大型霊長類の頭蓋骨を発見したと発表しました。
これに対し、専門家たちは次々に問題点を指摘しています。
頭蓋骨発見の報告
2022年7月7日に彼が投稿した内容は、彼がカナダのブリティッシュコロンビア州で大型霊長類の頭蓋骨を発見し、現在は専門家による頭蓋骨の審査を待っているところだといいます。
速報：政府や公共機関が私たちの映像を止めようとし、写真が削除される前に、ここにリークする。ブリティッシュコロンビアで大きな霊長類の頭蓋骨を発見した。この数週間は秘密にしていたのだが…そう、私はその頭蓋骨を持っていて、現在安全な場所で霊長類学者の審査を待っているところだ。熊の頭蓋骨だと思ったが、100％違うと断言できる。この頭蓋骨は、パック・ノースウエストにおける大嵐の後、多くの木と土が掘り返され、深い森の渓谷の地中に部分的に埋まっているのを発見した。この写真は削除されるだろうし、ビデオも政府か州立公園の職員によって削除されるだろうが、頭蓋骨は安全だ。皆さんが考えているようなものかどうかはわからないが…パック・ノースウエストで霊長類の頭蓋骨を見つけるなんて、不思議でならない。あなたは何を信じますか？
ゴリラの頭蓋骨？
しかし、専門家たちはピーターソン氏の主張は非常に疑わしい上に、動物の骨を密かに国境を越えて輸送することは違法の可能性があると指摘しています。
科学コンサルタントで、野生動物の取引に詳しいナショナルジオグラフィックのジョナサン・コルビー氏は、「霊長類の標本を米国に密輸することは、たとえ野生で見つかったとしても違法です」と言います。
ジョンズ・ホプキンス大学の大学院生で地質学者であるイナン・ワン氏は、ピーターソン氏の頭蓋骨が、AliExpress（通販サイト）で購入できるゴリラの頭蓋骨の模型に酷似していると指摘しています。ツイートの中でワン氏は、AliExpressの商品とピーターソン氏がシェアした写真を並べて比較したものを載せています。
Looking at the pics, it’s not the Bone Clones gorilla skull. But it’s very close to this one on Ali Express spotted by @offshoreoddity , although it has this weird bone on the side of the skull https://t.co/VJFymxQeee https://t.co/wga5GMX33J pic.twitter.com/wmXg2Xu7TF
— Fossil Locator (@FossilLocator) July 8, 2022
古生物学者でイギリスの科学コミュニケーターであるダレン・ナイシュ氏は次のように述べています。「多数の解剖学的見地からも明らかで、専門家たちによって検証されたように、間違いなくゴリラの頭蓋骨です。また、これは市販のゴリラの頭蓋骨の模型と同一のもののようです」
「我々は、それが未知の霊長類の本物の頭蓋骨であるかもしれないという考えを真っ向から否定することができます」
違法性
ピーターソン氏は頭蓋骨を”安全な場所”に保管しているとしていますが、もし米国内にあるとすれば、それは彼が何らかの方法で標本を米国とカナダの国境を越えて密輸したことを示唆するものになります。
米国税関国境警備局によると、生物学的標本や野生動物の製品または部品（骨など）を米国に輸送するには、通常、米国農務省、疾病管理予防センター、米国魚類野生生物局（USFWS）の許可が必要です。
ナイシュ氏は、「霊長類の標本の移動はワシントン条約によって規制されています。そのため、霊長類の標本を見つけ、それを移動させたかもしれないとほのめかすのは、非常に無責任だと言えるかもしれません」と述べています。
そして、もしピーターソン氏がカナダの国立公園で頭蓋骨を見つけたとしたら、彼の行為はカナダ国立公園法と国立公園一般規則により違法となるそうです。これらの規則では、公園から許可なく”自然物”を持ち出すことは違法であり、公園内の野生生物を生死を問わず密売することも犯罪であるとされています。
また、頭蓋骨が化石とみなされる可能性がある場合、ブリティッシュ・コロンビア州の法律では、個人が脊椎動物の化石を収集することを禁じており、”珍しい、または希少な標本”であれば、ロイヤルBC博物館、地元の博物館、BC化石管理事務所に報告しなければならないと、ブリティッシュ・コロンビア州政府のHPに記載があります。
クリックベイト
合法性という問題に加えて、ピーターソン氏の投稿にある「陰謀論的」な表現が状況を悪化させていると、ネイシュ氏は言います。
「このようなことはクリックベイト（ネット上の虚偽・誇大広告）として頻繁に行われており、これは今後のビデオの宣伝のために行われた演出だと聞いています。もしかしたら、これは無害な楽しみとして受け取られることを意図しているのかもしれません。しかし、反科学的感情や陰謀文化が深刻な問題になっている時代に、これは本当に全く良い印象を与えません。この演出は裏目に出たと思います」
reference: Scientists dismiss Coyote Peterson’s ‘large primate skull’ discovery as fake | Live Science
恐らく「藤岡探検隊」のようなノリなんじゃろうが、ある程度本物のように見せる演出は現代では許されないのかもしれんのぉ
コメント
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