もうすぐマトリックスの世界が現実のものになるかもしれません。
トルコのある牧場では、牛にVRヘッドセットを装着し、天気の良い牧草地にいると思い込ませることで多くの牛乳が生産できるかのテストが始められています。
メタバース

近年、”メタバース”という言葉をよく耳にするようになりました。メタバースとは、コンピューター上に作られる仮想空間のことで、ビジネスにおいてもトレンドワードになっています。
世界各国の企業はいち早く仮想空間の覇権を握るべく凌ぎを削っており、アメリカ大手IT企業のFacebookは、メタバースに注力することを示すため”Meta”と社名を変更しています。
これまで仮想空間の利用は、人間向けのゲームや非日常体験が先行していましたが、ついに動物や畜産という分野にまで進出するようです。
VRヘッドセットを装着する牛

トルコメディアが報じたところによると、トルコ・アクサライの牧場主イゼット・コチャックさんが所有する牧場では、牛にVRヘッドセットを着用させるテストを行っています。
厳しい冬の間、牛は室内で過ごすことを余儀なくされます。そのため、VRヘッドセットを使うことによって牛を緑の牧草地にいるように錯覚させます。すると牛はリラックスすることができ、より多くの牛乳を生産することが可能になるというのです。

このVRヘッドセットはモスクワでの先行テストが実施されており、牛の安全性を確保するために獣医と連携して開発されたと伝えられています。
現在、2頭の牛にこのVRヘッドセットが装着され、結果は良好であるといいます。コチャックさんによると、牛の乳量は1日22リットルから27リットルになったそうです。
「緑の牧草地を見ていると、感情が高揚してくるのです。ストレスを軽減させることができます」とコチャックさんは説明します。良好なテスト結果を受け、さらに10個のヘッドセットを導入する予定とのことです。
まるでマトリックス

牛がVRヘッドセットを装着するというディストピア的な光景には、反発の声も上がっているようです。ゲーム関連の情報を提供する「Kotaku」というサイトは、まるでマトリックスの世界だと指摘します。
さて、指摘するまでもないだろうが、これはまさに『マトリックス』の筋書きだ。生き物は仮想世界に縛り付けられ、”より良い生活”を送るよう騙され、メタバースに囚われている人々のために資源を生産する。ということは、この中の1頭が実は”The One”なのだろうか?必然的な異常?人類を倒し、牛の兄弟姉妹を解放するために立ち上がる選ばれた牛なのか?おそらく、そうではないだろう。
しかし、ますます多くの企業が、メタバースは未来であり、Second Life 2を作るために使われる馬鹿げた流行語ではないと人々に納得させようとしている中、私は外の世界の厳しい気候から逃れるという目的でVRヘッドセットに縛り付けられた無力な牛たちを見て、20年後の人類の姿について考えずにはいられなかった。
Cows Strapped Into VR Headsets To Make Them Produce More Milk (kotaku.com)
VRやメタバースは今後も多方面に活用されていくでしょう。そして、私たち人間も仮想空間の世界に生きる日がくるのかもしれません。現実に、牛はすでに騙されているのですから。
reference: Cows Strapped Into VR Headsets To Make Them Produce More Milk (kotaku.com)、Matrix For Cows: Rancher ‘Traps’ Cows In Metaverse To Improve Milk Production (indiatimes.com)

なんだかすごい光景じゃな
コメント