潮の満ち引きとは、一日を通して起こる海面の昇降のことです。この現象に月が関係していると聞いたことがある方も多いでしょう。
しかし、実際にはどのようにして月は海の潮位に影響を与えているのでしょうか?月は地球を一日周期で回っているはずなのに、なぜ一日に二回満潮があるのでしょうか?
これを読めばその理由がわかるはずです。
月がもたらす潮の満ち引き

青い矢印は月の引力を、赤い矢印は地球中心にかかる月の引力とその地点の月の引力の差異をあらわしています。
宇宙空間にある全てのものは、互いに引力(物体が引っ張り合う力)を及ぼしています。月は地球に最も近い天体であり、地球の海に最も大きな影響を与えています。
月の引力は、地表にある海の水を月の方向へと引き寄せます。水が月の方に引っ張られると、潮位(海面の高さ)が上がります。つまり、地球上で最も月に近い場所(A地点)では月の引力が最も強くなり、その結果満潮を迎えます。
地球が1日24時間の自転をするとき、月に最も近い地球の地点は常に変化していくため、ある地点で考えると24時間周期で潮汐(ちょうせき。潮の満ち引き)が起こるのです。(実際は24時間50分ですが、詳しくは後述します)
第二の満潮
しかし、満潮は一日二回あります。実は、第二の満潮は月から最も遠い地点で発生するのです。月の引力を最も受けていないはずですが、なぜでしょうか?
月とは反対側の地球の地点では、月の引力が水を押し下げる方向に働きます。月から最も遠い場所(B地点)では、他よりも押し下げる力が小さくなるため満潮を迎えるのです。
もう少し詳しく考えてみると、潮汐力は地球の中心を基準とした月の引力の差異といえます。A、B地点ではその差異が地球の外側に向かって最大になるのです。
満潮の中間が干潮
月に近い側と遠い側の中間にある地点(C、D地点)は、潮位が最も低くなります。干潮は満潮の中間、つまり約6時間おきに発生します。
これが、1日周期の月による潮汐の仕組みです。
太陽と月の位置関係がもたらす大潮と小潮

太陽も地球に重力を及ぼしており、潮汐(ちょうせき)への影響は月の約半分です。太陽がもたらす潮汐の仕組みも月の時と同様です。太陽から最も近い場所と、最も遠い場所で潮位が高くなります。
そして、月と太陽が一緒に作用することで大きな潮汐力が生まれるのです。
月の満ち欠けは、1ヶ月単位の時間軸で変化します。満月と新月の頃に満潮を迎えると、地球、月、太陽が一直線に並ぶことになります。このとき、地球表面は最も大きな潮汐力を受け、大潮(おおしお。最も干満の差が大きい期間)になります。
月が半分ほど満ちているとき(上弦または下弦)、太陽と月の引力が打ち消し合うように働くため、潮汐力が最も小さくなり、小潮(こしお。最も干満の差が小さい期間)になります。
月齢は地球、月、太陽の位置関係によって変化していきます。

月の公転周期がもたらす満潮時間のずれ
月が地球の周りを一周するのにかかる日数が約29.5日です。よって、満月から次の満月になるまでの日数も約29.5日です。これを朔望月(さくぼうげつ)と言います。
時計の時針と分針が異なる速度で動くように、月は地球の24時間の自転よりわずかに早く動いています。つまり、ある地点から月を観測すると、地球が24時間で自転する間に、月は24時間前よりも少し先の位置にあることになります。
24時間を29.5日(月の公転周期)で割ると、約50分です。このため、月による潮汐は24時間50分周期となり、満潮の時刻が毎日50分ずつ遅くなっていくのです。
月の軌道の形が潮汐に与える影響

地球の周りを公転する月の軌道は完全な円ではなく、わずかに楕円軌道を描いて動いています。その楕円の中で月が地球に最も近づくと、重力が大きくなり、潮位が高くなります。
この位置を近地点といいます。一方、月が地球から遠ざかると、潮の満ち引きが小さくなり、この位置を遠地点といいます。
この楕円軌道の周期は、地球の周りを回る月の公転周期とは一致しません。前述のように、地球の周りを回る月の公転周期(朔望月)は29.5日です。楕円軌道の周期は27.5日です。つまり、満月のたびに、月は楕円軌道の中で少しずつ違う場所にいることになります。

月が近地点にあって満月や新月を迎えると、月が最も大きく見えるスーパームーンと呼ばれる状態になります。これは約400日周期で起こり、このとき通常の大潮よりも月の位置が近い分だけ潮位が高くなります。
地球の軌道も楕円形
また、地球も太陽のまわりをわずかに楕円の軌道で回っています。月の軌道と同じように、地球が太陽に最も近くなる1月頃に潮の満ち引きが大きくなります。反対に、地球が太陽から最も遠い7月上旬は、潮の満ち引きが小さくなります。
月の軌道のゆらぎ
さらに、月の楕円軌道には若干のゆらぎがあり、約18.5年周期で潮の満ち引きの大きさが変わります。次に月のゆらぎが最も地球に近づくのは2030年代で、この時期は潮位が通常より高くなるとのことです。
海岸の形と海底の形
潮の満ち引きはすべての場所で同じではありません。多くの沿岸地域では、満潮と干潮の差は数メートル程度であるのに対し、カナダのファンディ湾では満潮と干潮の差が12〜15メートルもあります。
詳しくは説明しませんが、海岸線や海底の形状が沿岸部の潮汐の違いに大きく影響しているのです。

さまざまな要素を考慮した最大の潮位とは?
これまで説明した要素が全て満潮のほうへ働くとき、最大の潮位が発生します。
地球に太陽と月が最も近づく2030年代の1月頃、スーパームーンとなった時期に満潮を迎えると、最も潮位が高くなります。これに嵐や気候変動による海面上昇が加わればさらに海面は上昇します。
ただ、このような記録的な潮位は、珍しいものと喜んで見ているわけにはいかないかもしれません。大きな潮汐の発生は、沿岸の低地地帯にとっては大きな問題となり、洪水などが発生しやすくなる可能性があります。
最後に
潮の満ち引きは生物の進化にも大きな影響を及ぼし、さまざまな動物の興味深い行動を生み出してきました。今度海辺に行くときは、潮の満ち引きの時間や高さが日によってどう変わるか、鳥や魚がどのように潮の満ち引きを利用しているかを注意深く観察してみるのも面白いかもしれません。
via: What are Moon Tides? • Earth.com

後半はかなり難しかったのぉ
これが全部理解出来たら、周りの人に自慢できるぞぃ
コメント