フラミンゴは水辺に生息する大型の渡り鳥です。その特徴は何と言ってもピンク色の体色ですが、この色には秘密があります。
なぜピンク色なのか?ピンク色の濃さは何をもたらすのか?これからご紹介するフラミンゴの事実を読めば、その答えがわかるはずです。
1. ピンク色の体色は食事によるもの

フラミンゴがピンク色なのは、餌となる藻類に含まれるカロテノイドという天然色素が蓄積するためです。他に小さなエビもよく食べますが、これらのエビも色素を含んだ藻類を食べています。
実際、生まれたばかりのフラミンゴは白色であり、色素を含む食事をしないと大人のフラミンゴも徐々に白色に戻っていきます。動物園ではピンク色を維持するため、色素を含んだ食事を与えているそうです。
2. 濃いピンク色の個体はモテる上に攻撃的
食事によって色素を摂取しているということは、濃いピンク色の体色は十分な食事を摂り、健康的であるという証拠になります。そのためフラミンゴの世界では、ピンク色の濃い個体は薄い個体よりも異性を惹きつけることができます。
また、ある研究によると、フラミンゴの一種であるコフラミンゴの群れの中では、濃いピンク色の個体は仲間に対してより攻撃的であることがわかりました。どうやら色の濃さは社会的な地位にまで影響があるようです。
3. 濾過摂食をする

ヒゲクジラと同じように、フラミンゴは濾過摂食(ろかせっしょく)と呼ばれる方法で食事を摂ります。
彼らは水辺に立って足で水をかき混ぜると、頭を逆さまにして水中にクチバシを入れ、舌で水を出し入れします。すると、クチバシの縁(ふち)にあるヒゲ状の組織がフィルターとなり、余分な水が口からこぼれ、餌となる藻や小さな甲殻類などが口の中に残るのです。このとき、下向きに曲がったクチバシが水をすくい易くしています。
4. 過酷な環境にも対応できる
現存するフラミンゴは世界中で6種だけです。オオフラミンゴとコフラミンゴはアフリカとインドまでのアジア地域に、他の4種は中南米に生息しています。

フラミンゴは通常、浅い海岸や干潟、湖などに生息しますが、中には強アルカリ性(pH12)で知られるタンザニアのナトロン湖で繁殖や子育てをする群れがいます。この湖の強いアルカリ性は皮膚を溶かしてしまうため、他の動物たちは全く寄りつくことの無い場所です。

しかし、フラミンゴは長い足によって体を水に浸けずにすみ、足はうろこ状の皮膚に覆われているため、このような環境にも耐えることができます。そうなれば捕食者のいないこの場所は、彼らにとって理想の繁殖地に成りえるのです。
5. なぜ片足で立つのか

フラミンゴは片足で立ち、もう一方の足を体の下に隠すポーズをよく取ります。これは冷たい水の中で体が冷えるのを防ぐためと言われていますが、異論もあるようです。なぜなら、この行動は温水や土の上でも見られるからです。
他の説として挙げられているのは、片足で立つことでエネルギーを節約しているというものです。彼らの死体は片足で立った状態で保持できることが研究によって判明しており、生きているフラミンゴも片足で立った状態でほとんど揺れたりしていない(筋肉による調整がほとんど必要ない)こともわかっています。つまり彼らにとって、片足で立つことが一番楽なのではないかと考えられているのです。

また、フラミンゴの足をよく見みると、足の真ん中の関節が後ろ方向に曲がっています。実は膝に見えるこの関節は踵(かかと)であり、本当の膝は羽毛の中に隠れています。つまり、フラミンゴは常につま先立ちのような姿勢で立っているのです。
6. 泥山の巣

フラミンゴは泥を積み上げて、小さな火山のような形の巣を作ります。頂上の火口部分がへこんでおり、大きな卵が1つ入るようになっています。フラミンゴは一夫一婦制で、一度の繁殖シーズンに一つの卵を産み、オスとメスが協力して卵を温めます。
他の動物同様、卵は捕食者(主に他の鳥類)の恰好のターゲットになる上、時に他のフラミンゴに巣を奪い取られることもあるため、つがいは協力して卵と巣を守らなければなりません。
7. フラミンゴミルク

産卵から一か月ほどで孵化のときを迎えます。ヒナはクチバシの先にある卵嘴(らんし)と呼ばれる突起を使って殻を割って卵の中から出てきます。先述のとおり、生まれたばかりのヒナは白い羽毛をしていて、クチバシも真っ直ぐです。成長とともにクチバシは変形し、色は食事によって変わっていきます。

生まれてしばらくの間は、両親から口移しで与えられるフラミンゴミルク(素嚢乳)を飲んで成長します。これは食道の奥にある腺から出される赤い液体で、哺乳類のミルクと同じような成分です。しかし、哺乳類とは違い、オスも出すことができます。
蛇足になりますが、抱卵から子育てまでつがいが協力して行うこと、ピンク色の体色であることなどから、フラミンゴは「愛の象徴」とされることがあります。
8. 飛ぶことができる

あまりイメージが無いかもしれませんが、フラミンゴは渡り鳥なので当然飛ぶことができます。時速60キロ近い速さで飛ぶことができ、数百から数千キロの距離を移動します。長距離の移動は、夜間に行われることが多いとされています。
また、フラミンゴの風切羽(翼後方の羽根)は黒色をしています。地上ではあまりよく見えませんが、飛んでいる時にははっきりと確認できます。
reference: 10 Things You Didn’t Know About Flamingos | Smithsonian Voices | National Zoo Smithsonian Magazine、15 Fascinating Flamingo Facts | Mental Floss、Pinker flamingos are more aggressive, intriguing study finds (nationalgeographic.com)、Flamingo – Wikipedia

フラミンゴは色だけじゃなく、生態も結構変わり者なんじゃな
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