「不老不死のクラゲ」ベニクラゲが老化を逆転させる秘密とは?

その他の生物

ベニクラゲは体長4~10mmほどのとても小さなクラゲですが、驚くような能力で注目を集めています。彼らはクラゲとして性的成熟を迎えた後、一度幼生期に戻り、再び大人のクラゲになることができるのです。

いわば「不老不死のクラゲ」と言えますが、この能力はどのように実現しているのでしょうか?

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不老不死のクラゲ

地球上のほぼ全ての生物は時間の経過と共に老化し、やがては死に至ります。しかし、「不老不死のクラゲ」とも呼ばれているベニクラゲは、このルールを完全に無視しているようです。昆虫で言うならば、蝶が芋虫に戻り、再び蝶に変態するようなことができるのです。

ポリプ期のベニクラゲ
Photo: The Immortal Jellyfish – YouTube

一般的なクラゲは、卵から生まれるとプラヌラと呼ばれる幼生として自由に泳ぎ回り、岩や貝殻などの硬い表面に付着してポリプとなります。ポリプは刺胞動物の一形態で、生涯ポリプとして過ごすのがイソギンチャクやサンゴなどです。

クラゲの場合は、このポリプからストロビレーションと呼ばれる分裂をすることで、独立した個体として海を漂い始めます。その後は皆さんがよく目にするクラゲの形になって成長を続け、やがて成体になります。

しかし、ベニクラゲの場合はここからが他のクラゲと異なります。ベニクラゲの成体は、損傷やストレスを受けると死ぬのではなく、自分の触手を吸収して塊のようになって海底に沈んでいきます。そして、再び岩に付着して新しいポリプになるのです。そのため、ベニクラゲは捕食者に食べられることはあっても、寿命によって死んでしまうことはないのです。

遺伝子の比較

ベニクラゲ
Photo: The Immortal Jellyfish – YouTube

スペインにあるオビエド大学の研究チームが『米国科学アカデミー紀要』に投稿した論文では、ベニクラゲ(学名:Turritopsis dohrnii)が持つ遺伝子に着目し、不老不死の秘密を解き明かそうとしています。

研究者たちは、ベニクラゲと不老不死ではない近縁種の”Turritopsis rubra”の遺伝子の比較を行いました。その結果、ベニクラゲはDNAを修復・保護する遺伝子を2倍持っており、より多くの修復タンパク質を生産できることがわかりました。また、細胞の複製や幹細胞に関連する遺伝子などにも違いがあることを発見しています。

さらに、ベニクラゲはテロメア(染色体の末端を保護し、通常は年齢(細胞分裂)とともに短くなる)が短くなるのを防ぐ変異を有していることもわかりました。これらの違いが不老不死の鍵である可能性があります。

しかし、このクラゲの老化現象をさらに理解するためにはさらなる研究が必要なようです。例えば、復活した成体のベニクラゲが、ポリプに戻る前と完全に同じ個体であるかはまだ不明とされています。

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人間への応用への期待

Photo: The Immortal Jellyfish – YouTube

ソーク研究所のグレン老化生物学研究センター所長であるヤン・カールセダー氏は、「健康寿命の延長を求めるのであれば、一つの経路に注目するだけではだめなのです。それだけでは十分ではありません。多くの経路に注目し、それらがどのように相乗効果を発揮するかを見る必要があります」と述べています。

また、論文の著者で海洋生物学者のマリア・パスクアル・トーナー氏は、この発見は人間にも役立つかもしれませんが、全く同じようにはいかないと言います。「私たちはクラゲではないので、人間がこのクラゲのように不老不死になれると考えるのは間違いです」

しかし、今回の研究が老化に関連する多くの病気に対する解決策を見つける助けになるかもしれません。著者たちは、このクラゲの遺伝子の理解が深まれば、人間のための再生医療やがんなどの加齢性疾患に対する新しいアプローチに繋がるかもしれないと期待しています。


reference: ‘Immortal Jellyfish’ Could Spur Discoveries About Human Aging | Smart News| Smithsonian MagazineCan the immortal jellyfish teach us how to reverse aging? • Earth.comTurritopsis dohrnii – Wikipediaクラゲ – Wikipedia

まだまだ人間への応用は遠いようじゃが、生物学の研究対象としてはとてもユニークなクラゲじゃな

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