動物の進化の速さは、これまで考えられていたよりも4倍も速い可能性がある

生物学

“自然淘汰”はダーウィンが提唱した進化論において根幹をなす考え方です。自然淘汰において重要になるのが、同一種内での個体間の遺伝的差異です。

新しい研究はこれを「進化の燃料」と呼んでおり、この燃料がこれまで考えられていたよりも4倍も大きかったとしています。つまり、進化の速度も4倍速い可能性があると言うのです。

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自然淘汰とは?

まずは”自然淘汰”について簡単に説明します。生物は同じ種の中でも個体によって若干異なる遺伝子を持っています。異なる遺伝子がもたらすものは、体の大きさや体色に関するものなど様々ですが、例えばそれが蝶の羽の模様だったとしましょう。

その蝶たちが好んでとまる葉っぱあったとすると、羽の模様がその葉っぱに近い個体は、葉っぱに紛れて捕食者から襲われる確率が下がります。すると、葉っぱに近い模様の蝶はより高い確率で生き残り、子孫を残します。

こうして何世代にも渡って葉っぱに近い模様の蝶が生き残っていくと、いずれは種全体が葉っぱに近い模様だけになります。こうした生物の形態の変化を自然淘汰と呼びます。また、環境や捕食者の状況など、ある特徴を持つ個体の生存率や繁殖率が上がるような作用を選択圧、または淘汰圧と言います。

自然淘汰による進化の中では同一種の中で遺伝的差異が多ければ多いほど、特定の形質が確立される確率や速度が速くなると考えられ、結果として生物の進化はより速くなる可能性があります。例えば、キリンの首は600万年をかけて4mにまで伸びましたが、これは一年あたり1000分の6mmほどです。しかし、キリンの個体間の首の長さの差がもっと大きければ、進化はより速く進んだかもしれません。

オーストラリア国立大学(ANU)を中心とした国際的な調査チームは、こうした遺伝的差異を「進化の燃料」と呼んでおり、自然界におけるこの燃料の実態を調べるため、世界中の生物の中から19種類の野生動物のデータを取得し、調査を行いました。この調査結果は「Sciece」誌に掲載されています。

大規模な調査

ANUの進化生態学者で論文の著者であるティモシー・ボネ氏は、今回の研究について次のように述べています。

「今回の調査方法は、自然淘汰における進化の潜在的な速度を測定することができます。これは、これまでの手法ではできなかったことで、これほど多くの潜在的変化(遺伝的差異)を確認できたことは研究チームにとって驚きでした」

今回研究対象となった野生動物には、オーストラリアのルリオーストラリアムシクイ  (学名:Malurus cyaneus)、タンザニアのブチハイエナ (学名:Crocuta crocuta)、カナダのウタスズメ (学名:Melospiza melodia)、スコットランドのアカシカ (Cervus elaphus)などが含まれています。生物の進化の速さをこれほど大規模に評価しようという取り組みは今回が初めてです。

対象となる野生動物に対して行った観察調査により、出生、死亡、交配、子孫の有無などの詳細が全て記録されました。観察期間は平均で30年、最も短いものは11年、最も長いものは63年でした。これにより、研究者たちは合計260万時間に及ぶ調査データを入手し、それぞれの動物の遺伝情報と合わせて検討を行いました。そして、3年がかりで自然淘汰による種の変化を定量化することができたのです。

その結果、「進化の燃料(遺伝的差異)」はこれまで考えられていたよりも2倍から4倍も多いことがわかりました。そのため研究者たちは、動物の進化の速さに関する予想を修正する必要があるかもしれないと言います。

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進化によって環境の変化に対応できるか?

チャールズ・ダーウィンは、進化は非常にゆっくりとしたプロセスであると考えていましたが、これまでの研究により、いくつかの種ではわずか数年で進化が起こることがすでに明らかになっています。

ボネ氏は、「速い進化の例としてよく知られているのがオオシモフリエダシャク(胡椒蛾)で、産業革命以前のイギリスでは白色が主流でした。しかし、公害で木や建物に黒い煤がつくと、鳥に見つかりにくくなるので、黒い蛾は生存に有利になるのです。蛾の色が生存確率を決め、それは遺伝子の違いによるものだったので、イギリスの個体群はすぐに黒い蛾に支配されるようになりました」と述べています。

先述のとおり、こうした進化の速度に関する研究はほとんど前例がなく、もともとのベースラインがないため、動物種が過去より速く進化していることを示す十分な証拠はまだないと強調しています。

しかし、明らかなのは「進化の燃料」がこれまで考えられていたよりも多く存在しているということです。野生生物が気候変動による影響を受け続けている今、動物がどれくらいの速さで適応できるかを詳しく知ることは、どの種が生き残り、どの種が生き残れないかをモデル化する上で役に立つかもしれません。進化がどの程度の速さで起こっているのかを正確に把握するためには、さらに包括的で長期的な研究が重要になるでしょう。

ボネ氏は、自然淘汰がもたらす進化による適応が、気候変動に対して種を存続させる可能性があると述べています。

「今回の研究によって、進化が環境変化に対応して種を存続させるプロセスとなりえることが明らかになりました。私たちが言えることは、進化は環境変化に対する個体群の適応において、以前考えられていたよりもはるかに重要な推進力であるということです」


reference: Evolution May Be Happening Up to 4 Times Faster Than We Thought, Massive Study Finds : ScienceAlert“Fuel of Evolution” – Raw Material for Evolution More Abundant Than Thought in Wild Animals (scitechdaily.com)自然選択説 – Wikipedia

進化の速度がこれまで考えられていたよりも速かったとしても、このまま気候変動がものすごい速さで進めば対応できない種が多く出てくるんじゃろうなぁ

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