ザトウクジラがシャチの群れに襲われる様子が目撃される

海獣

2022年9月29日、米国とカナダの国境付近で、2頭のザトウクジラが10頭以上の攻撃的なシャチに襲われました。ホエールウォッチングをしていた船の乗組員が発見し、その様子を収めた動画や写真を公表しています。

シャチが噛みつけば、ザトウクジラはヒレを叩きつけるといった攻防が数時間にわたって繰り広げられ、船にまで聞こえるほどの大きな鳴き声も確認されたとのことです。

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ザトウクジラを襲うシャチ

今回目撃されたザトウクジラを襲うシャチの集団
Photo: Mollie Naccarato, Sooke Coastal Explorations, PWWA

太平洋ホエールウォッチング協会(PWWA)は、米国とカナダの国境にあるファン・デ・フカ海峡でザトウクジラを襲うクジラが目撃されたことを発表しました。

最初に異変に気付いたのは、イーグルウィングツアーズのホエールウォッチング船に乗っていた乗組員で、海面近くに異常なほど活発な15頭ほどのシャチの群れがいるのを見つけました。

その後、近くにいた他の船のツアー客がシャチの群れが襲っている2頭のザトウクジラに気が付きました。彼らは3時間以上にわたって戦いを見守っていましたが、濃い霧が立ち込めたところで見失ってしまったため、勝負の行方はわかっていません。

この様子を目撃した船の船長は、「まったく信じられないことだったので、まだ頭を整理しているところです。最初はシャチがザトウクジラを追いかけているように見えましたが、ある程度距離が離れるとザトウクジラの方からシャチの方へ戻っていっていました」と述べています。

もしかすると、ザトウクジラはもう1頭の仲間を助けにいっていたのかもしれません。

今回の襲撃の様子を撮影した動画

この海域で見られる3タイプのシャチ

胸ビレでシャチを叩こうとしているザトウクジラ
Photo: Mollie Naccarato, Sooke Coastal Explorations, PWWA

シャチには識別番号が振られており、PWWAは今回目撃されたシャチのうち三頭は、この海域で頻繁に目撃されている”T109As”、”T233s”、”T252s”という個体だったと特定しました。

この海域には、”定住型”、”回遊型”、”沖合型”の3タイプのシャチがいるとされており、それぞれが完全に分離されていて互いに交配することはなく、遺伝子も異なっていることがわかっています。

その中でも回遊型は比較的小さな群れか単独で行動することが多く、普段はアザラシやアシカなどの比較的小型な海洋哺乳類を捕食しています。

他のタイプのシャチに比べてはるかに攻撃的で、時にザトウクジラなどの大型のクジラを襲うことが知られており、ザトウクジラにとってはこの海域で唯一の捕食者と言えるでしょう。

ザトウクジラのリーパーとハイドラ
Photo: Mollie Naccarato, Sooke Coastal Explorations, PWWA

また、襲われていたザトウクジラもリーパー(BCX1948)とハイドラ(BCY1000)という個体であることが確認されました。

リーパーは4歳のメスで、10歳前後で大人になるザトウクジラの中ではまだ子供です。ハイドラは大人のメスで、生涯で少なくとも3頭の子クジラを出産しています。もし今回の襲撃を生き延びることができていたなら、今後数週間のうちに繁殖地に向けて年に一度の移動を開始するはずです。

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個体数が回復したザトウクジラ

ザトウクジラ

PWWAのエリン・グレス氏は、シャチとザトウクジラの関係について次のように説明しています。

「この辺りではシャチにもザトウクジラにもよく遭遇しますが、戦いの最中に遭遇することはあまりありません。ザトウクジラがスクールバスほどの大きさになっても、非常に経験豊富な海のハンター(シャチ)は集団で襲うことができるのです。しかし、こうした攻撃が捕食なのか縄張り争いなのかははっきりしないところがあります」

2021年5月には、今回の現場に近いセイリッシュ海で13頭のシャチの群れがザトウクジラの母子を襲う事件が発生しました。直接的な証拠はありませんが、その様子を目撃した人々は子クジラが殺されてしまったと考えています。

近年、この海域ではこのようなザトウクジラとシャチの衝突が目撃されることが増えています。ザトウクジラが捕鯨による深刻な個体数の減少から回復してきたことが原因と考えられますが、ホエールウォッチング船が増えたことで目撃の機会が増えているという可能性もあります。

幼い個体を狙うシャチ

シャチ

2021年2月、オーストラリアで若いオスのザトウクジラがシャチの攻撃を4時間受け、かろうじて生き延びましたが攻撃によって背びれを失いました。

このようなシャチがザトウクジラを襲うケースに共通しているのは、少なくとも1頭のザトウクジラが幼獣だったということです。

クジラとイルカの保護協会(WDC)の研究員で、「Orca: The whale called killer」(シャチ:殺し屋と呼ばれるクジラ)の著者であるエリッヒ・ホイト氏は、それは決して偶然ではない、と言います。

「シャチは若いザトウクジラを襲い、時には幸運に恵まれることもあります。しかし、周りに年配の個体、特にメスがいる場合、成功することはあまりありません。メスのザトウクジラは、若いクジラを守るため、さらにはアザラシやイルカなどの他の種を守るために攻撃的になり、凶暴なヒレでシャチを攻撃することがあります」

しかし、彼らの関係は常に敵対しているわけではないかもしれません。

2021年1月、ロープに絡まったザトウクジラをシャチの群れが救出する様子が目撃されました。ただし、これが本当に助けようとした行動であったのか、それとも捕食しようとして失敗しただけだったのかはわかっていません。


reference: Orcas and humpbacks clash in a violent melee of breaching and biting | Live ScienceMedia — Pacific Whale Watch Associationシャチ – Wikipediaザトウクジラ – Wikipedia

研究者の人が言っておったが、あまり成功しない狩りなのであれば、捕食のためではなく縄張り争いという面もあるのじゃろうか

コメント

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