遺伝子編集技術でタスマニアタイガーは復活するか?計画に対する疑問や批判も

その他哺乳類

かつてタスマニア島に生息していた大型の肉食獣であるタスマニアタイガーを、現代の遺伝子編集技術を用いて復活させようという計画があります。

この計画は大きな注目を集める一方、その実現性や倫理的、現実的な問題点に疑問の声も上がっています。

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タスマニアタイガー(フクロオオカミ)とは?

タスマニアタイガー(正式な和名はフクロオオカミ、学名:Thylacinus cynocephalus)は、背中の模様がトラ(タイガー)に似ていることでこのような呼び方をされていますが、実際はトラでもオオカミでもなく、コアラやカンガルーと同じ有袋類です。

中型~大型犬ほどの大きさで、鳥やげっ歯類、そしてカンガルーさえも狩っていたと考えられています。

ディンゴ

彼らは400万年前からニューギニア、オーストラリア本土、そしてタスマニア島に生息していました。しかし、人間による乱獲や、野犬の一種であるディンゴの導入により、およそ2000年前にはオーストラリア本土から姿を消しました。

そして、19世紀末から20世紀初頭にかけ、ヨーロッパ人がオーストラリアの南方約1500キロに位置するタスマニア島にも入植し始めたことで彼らの命運は尽きることになります。

タスマニア島に移り住んだ人間たちは、家畜の鶏や羊がタスマニアタイガーに殺されていると考え(誤りとの指摘もあり)、何千頭ものタスマニアタイガーを殺戮しました。政府もこの活動を支援し、毛皮に懸賞金が出されることさえあったのです。

その結果、彼らは急速に生息数を減らし、1936年、タスマニア州ホバートのボーマリス動物園で飼育されていた最後のタスマニアタイガーであるベンジャミンが死亡したことで彼らは絶滅に至りました。

この映像はベンジャミンがまだ生存していた1933年に撮影された貴重な映像です。元は白黒の映像でしたが、2021年に最新技術を用いてカラー化されました。

復活計画を主導するコロッサル社

この悲運の動物を絶滅から救おうと立ち上がったが、アメリカ・テキサス州に拠点を置く遺伝子工学の新興企業コロッサル・バイオサイエンシズです。

コロッサル社は、2021年にケナガマンモスを復活させる計画を発表して注目を集めました。まだその計画は実現に至っていませんが、マンモスと同じように有名な絶滅種であるタスマニアタイガーも復活させる計画を明らかにしたのです。

同社は、2022年初めに500万ドル(1ドル=140円換算で7億円)を寄付して設立したメルボルン大学のThylacine Integrated Genetic Restoration Research Lab(タスマニアタイガー統合遺伝子復元研究所)の研究者たちと連携して研究を進めています。

報道によれば、コロッサル社はさらに1000万ドルを投資する予定で、さらなる設備の充実を行ってタスマニアタイガー復活へのプロセスを加速させようとしています。

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絶滅種復活のプロセス

では、彼らはどのようにして絶滅した動物を復活させようとしているのでしょうか?

オブトスミントプス

鍵になるのが、タスマニアタイガーの近縁種であるオブトスミントプス(学名:Sminthopsis crassicaudata)です。彼らはフクロネコという小型の有袋類の一種で、見た目はネコと言うよりもネズミのようです。

計画の第一歩は、何十年も保存されているタスマニアタイガーのDNAを使い、ゲノム解析を行うことです。同様にオブトスミントプスのDNAもゲノム解析し、2つのゲノムを比較した後、研究者たちは遺伝子編集技術を使って、オブトスミントプスの細胞内のDNAをタスマニアタイガーに近づけます。

そして、編集を行った細胞をオブトスミントプスの卵子に挿入し、胚を成長させます。この胚を人工子宮やオブトスミントプスの代理母の中で成長させ、最長で42日間程度の妊娠期間を経て出産させます。

計画通りにいけば、タスマニアタイガーに近い赤ちゃんがこの世に誕生することになるのです。

研究者たちは、今後10年以内におよそ90%の遺伝情報が一致するタスマニアタイガーに似た動物を作り出すことができると主張しており、最終的には99.9%の割合で一致する動物を開発したいとしています。

コロッサル社の計画では、タスマニアタイガーを復活させることができたら、自然保護団体や先住民族と協力し、彼らをタスマニアの大地に返したいとしています。

同社は、かつてタスマニアにおける頂点捕食者であったタスマニアタイガーを再導入することで、ワラビーやカンガルーなどの動物の過剰繁殖に対処することができ、また彼らが病気の動物を狩ることで、病気の拡散を防ぐのに役立つと信じています。

メルボルン大学の遺伝子工学研究者で、このプロジェクトを主導しているアンドリュー・パスク氏は、「私たちの究極の目標は、遺伝子工学の技術を用い、タスマニアタイガーを生態系において絶対不可欠な役割を果たしていた野生に戻すことです。いつかまたタスマニアの大地で彼らを見ることが出来るようになることを望んでいます」とコメントしています。

復活計画に対する疑問や批判

しかし、この計画には懐疑的な意見も多く寄せられています。

オーストラリア古代DNAセンターの進化生物学者であるジェレミー・オースティン氏は、「おとぎ話のような科学」であると批判しています。

「私のような人間から見れば、タスマニアタイガーやマンモスの復活はメディアの注目を集めるためのものであり、真剣に科学研究を行うためのものではないことは明らかです」

同じように絶滅種の復活を目指す非営利団体Revive & Restoreの主任科学者であるベン・ノバック氏は、「文字通りの意味での脱絶滅は不可能である」と語っています。

「絶滅したものを復活させることはできません。その代わり、これらの企業のほとんどは、生態系における絶滅種の役割を埋めることができる代理の生物を作るつもりなのです」

また、そもそもタスマニアタイガーとオブトスミントプスは同じ有袋類とはいえ、DNAはあまりに違っており、それらを一致させていくのは不可能ではないのか、という批判もあります。彼らは数百万年前に分岐し、そこから長い年月経たことで、かけ離れた存在になっているというのです。

さらに、絶滅種を復活させる、といういやがおうにも注目を集める話題が提供されることで、現存する絶滅危惧種の保護に対する注目や資金が遠のくことを懸念する声も上がっています。


reference: Why the Idea of Bringing the Tasmanian Tiger Back From Extinction Draws So Much Controversy | Smart News| Smithsonian MagazineGenetics startup wants to bring the Tasmanian tiger back | Popular Science (popsci.com)

生態系は、すでに絶滅してしまった動物を除いた形でバランスを取っているはずじゃから、再導入はそれをもう一度破壊してしまうことになるかもしれんのぉ

コメント

  1. こんにちは。

    絶滅種の復活は夢はありますが、それを現代に蘇らせることが良いことだとは思えません。
    生態系の破壊や再度の絶滅の可能性等、考えさせられます。

    いつもありがとうございます。

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