スローロリスは夜行性の生活に適応した大きな目を持ち、可愛らしい見た目からペットとして人気があります。
Youtubeのペット動画でも人気者で、最も再生されている動画でのおにぎりを食べる姿はとても愛らしいのですが・・・。

片手にフォークを持ち、飼い主さんから小さなおにぎりを受け取るスローロリス。

小さくぱくり。


潤んだ瞳と物憂げな雰囲気がなんとも可愛らしいのですが・・・。

スローロリスは東南アジアとその周辺地域に生息しています。
野生のスローロリスは生息数が減少傾向にあり、IUCNのレッドリストで絶滅危惧に指定されています。
ロリスの体の一部から作られる伝統的な薬は多くの病気を治すと考えられ、薬の原料として需要があり、近年はペットとしての需要も高まっています。
ワシントン条約で国際商業貿易が保護され、現地の法律で取引は禁止されているにも関わらず、スローロリスは東南アジアの動物市場で公然と販売され、日本など他の国に密輸されているのが現状です。
ペットとして取引するために抜歯をされることが多く、それが原因で感染を引き起こし死に至ることも多いです。
ストレスや本来野生では食べることのない果物やおにぎりなどを与えられるといった不適切な栄養状態と飼育環境、感染症などのために、捕獲されたスローロリスの死亡率はとても高く、代替を確保するために多くのスローロリスが捕えられています。

スローロリスは優れた飼育施設でも繁殖させることは非常に難しく、繁殖させたとしても飼育が困難な場合が多いため、飼育下で育てられたロリスを持っていると主張する販売者が真実を語っているかどうかは疑問が残ります。
日本では大体60万円~100万円程度で取引され、ネットにも広告が出ていますが、世界自然保護モニタリングセンターの報告によると、2006年に合法的に輸入されたスローロリスはわずか数十頭であり、密輸が頻繁に行われていることが示唆されるそうです。
また、そもそもYouTubeでみる可愛らしい姿は誤解かもしれません。
霊長類学者のアンナ・ネカリス氏によると、動画に登場するスローロリスがおとなしいのは、脅威的な状況に対する受動的な防御反応であることを知らないため、見る人のほとんどが誤解している、とのことです。

可愛らしいスローロリスに罪はないはずなんじゃが、なかなか難しい問題じゃのぉ
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