ウォンバットの四角いウンチは、なぜ、どのように作られるか?

その他哺乳類

オーストラリアに生息するウォンバットは、カンガルーやコアラなどと同じ有袋類です。ウォンバットのメスは、他の有袋類と同じように育児嚢(いくじのう)に子供を入れて育てます。

しかし、彼らにはあまり知られていない特徴があります。それはウンチが角ばった立方体であるということです。彼らの変わったウンチは、なぜ、どのように作られるのでしょうか?

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四角い糞をするのはなぜか?

ウォンバットの糞

ウォンバットは、オーストラリア南東部及びタスマニア島の森林や草原などに生息する草食動物です。体長は1メートル前後で、地面や木の根元に巣穴を掘って暮らしており、ときに10m以上にもなる巣穴には複数の個体が一緒に暮らすこともあります。

彼らは一度に4~8個、一日に最大100個もの四角い糞を排泄して縄張りの目印にします。この糞は縄張りを主張するだけでなく、他の仲間とコミュニケーションを取り、異性を惹きつける役目も果たしているようです。

そして、ウォンバットが四角い糞をするのは、倒木や岩の上に糞を置いても容易に転がっていかないようにするためだと考えられています。

木の根元に掘られたウォンバットの巣穴と糞(画面手前)

四角い糞はどのように作られるのか?

しかし、ウォンバットがどのようにして四角い糞を作るのかについては、明らかになっていませんでした。2021年に『Soft Matter』誌に掲載された論文は、この謎を明らかにしようとしています。

この論文の著者であるジョージア工科大学のパトリシア・ヤン氏のチームは、2018年に発表した論文※で、ウォンバットの腸壁には弾性があり、立方体の糞は消化プロセスの最後に形成されることを発見したと報告しています。

※この論文はイグノーベル賞(ユーモアあふれる研究に贈られる賞)を受賞しています。

この結果を踏まえ、新しい研究では、柔らかい腸壁が糞を四角い形状へと変える仕組みを完全に理解するため、2匹のウォンバットを解剖し、腸組織の質感と構造を調べました。その結果、ウォンバットの腸から作成された2次元数理モデルは、消化中に腸管がどのように拡張・収縮し、最終的に排泄物を絞り出すかを明らかにしました。

ヤン氏は、「ウォンバットの腸の断面は、両端がわずかに張った状態で、中央部が垂れ下がった輪ゴムのような形状をしています。硬い部分と弾力性のある部分が異なる速度で収縮することで、立方体の形を作ることができるのです」と説明しています。

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研究の他分野への応用への期待

ウォンバットの腸は体長の10倍の10メートルもあり、消化プロセスには人間の4倍の時間がかかります。これにより、食物からより多くの栄養素と水分を吸収することができ、より乾燥した糞が出ます。

ジョージア工科大学の流体力学の教授で、論文の共著者でもあるデイビッド・フー氏は、「収縮は非常に繊細で、便が腸を進む間に行われる4万回の収縮により、糞の角はどんどんと強調されていきます」と述べています。

フー氏によれば、今回の発見によって糞の形状から健康状態を測ることができるようになり、飼育されているウォンバットの健康管理に役立つ可能性があるといいます。ただし、飼育されているウォンバットの糞は、野生のものほど角ばっていないことがあるそうです。

また、研究者たちは、ウォンバットの特徴的な排便の仕組みを解明することで、人間の大腸がんを発見するのに役立つと期待しています。他にも、製品を製造・成型する新たな手法の開発への応用もあるかもしれません。

reference: Wombats Poop Cubes, and Scientists Finally Got to the Bottom of It | Smart News| Smithsonian MagazineWombat – Wikipedia

四角い糞をする生き物はとても珍しいのぉ

オーストラリア大陸の閉ざされた生態系や環境に進化の鍵があったんじゃろうか

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